60歳を過ぎ、物忘れが激しくなった母・玲子(原田美枝子)。兄の浩介(妻夫木聡)も弟の俊平(池松壮亮)も父の克明(長塚京三)も、母の心配も全く気にしていなかった。だがある日、兄・浩介と婚約者、その家族の前であらぬ発言をしてしまう。病院で検査を受けた母の結果は、「脳腫瘍」。しかも末期症状であり、余命はあと1週間と宣告されたのだ。「家族がバラバラになるのは、あたし怖いよ」。その一言を最後に、脳を腫瘍に侵略されてしまい、昔の恋人のことやこれまでひた隠しにしていた家族への本音を吐露し出し、大慌てになる長男、次男、父。やがて、多額のローン、生活破綻、親への不信、子への依存。“当たり前の家族”に隠されていた問題が表面化する――。
石井裕也