耳が良すぎて、少しでも音のズレを感じると頭痛がしてしまう小学生のうみ。島で開催されるコンサートのために東京からやって来た、ヴァイオリニストの祐子。耳のせいで変わり者扱いされ、母親や友だちとの関係に悩むうみは、祐子と出会い、フルートを練習し吹奏楽部に参加することで、少しずつ頑なに閉ざしていた自分自身を解放していく。祐子もまた、島の人たちとの交流により都会で荒んでいた心を取り戻していく。島々の清らかで美しい自然と音楽とが、人々をつなぎ、自分に向き合う力を与えてくれるひと夏の物語。
新藤風