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実在のボクサーの物語で、舞台は大恐慌時代のアメリカである。そう聞けば、なにやら地味そうで敬遠したくなる人も多いかもしれない。だが、ここに描かれているのは、誰の心をも震えさせる、とある夫婦のラブ・ストーリーである。それはまるで、ケビン・コスナー主演作『フィールド・オブ・ドリームス』に描かれていたような、美しき夫婦の愛の物語のようだ。一度は第一線から退いたブラドックが、世間も悲観するほどに無謀な試合に挑むとき、不安を抱えながらも必死で夫を支える姿が心を打つ。『フィールド・オブ・ドリーム』に登場する妻もまた、「啓示があった」と、突然トウモロコシ畑を野球場にしてしまう夫を、とことん信じ続ける"パートナーの鏡"のような人だった。全く性格の違う2人の妻。あなたの心を、より揺さぶるのはどちら? |
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家族が一緒にいるために仕事としてのボクシングを続けたジム・ブラドックだが、その姿は、『クレイマー、クレイマー』で、息子と一緒に暮らすために仕事を必至に探し、多くの犠牲もいとわない父親(ダスティン・ホフマン)の姿とどこか重なる。『クレイマー、クレイマー』は離婚から始まる物語であるし、2人の父親の性格、置かれた状況に大きな違いもあるのだが、それでもなお共通しているのは、父親と子供の絆という美しき家族の肖像だ。かたや、離婚による養育権争いを機に絆を深めていく親子、かたや貧困による一家離散の危機を絆で乗り越えようとする親子と、それぞれ家族のスタイルは違っても、一緒にいたいという強い願いは同じだ。子共を愛する父の想いと、親を慕う子の想いがいずれの作品にも、見事に映し出されているのである。 |
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実在のボクサーの半生を描いた作品としては、ウィル・スミスがモハメド・アリを演じた、マイケル・マン監督の作品『ALI アリ』とも似ている。アリもブラドックも、自らの信念を貫き、その戦いぶりに自分自身の生き様さえ反映させた不屈のヒーロー同士である。だが、活躍の陰には、さまざまな葛藤や失敗あり。伝説のヒーローである彼らを、マン監督もハワード監督も、伝説の英雄としてひたすら崇めたてるのではなく、彼らのヒーローたるゆえん、つまりは誇り高く生きた1人の人間の姿を映し出しているのである。さらには、ボクシングという単なる種目だけでなく、スポーツマンとしての気品をも共有している2人について、ぜひ、この作品で見比べたい。 |
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1930年代、アメリカを襲った大恐慌で、多くの人々が職を失い、日雇いの仕事を求めてさ迷った。そんな時代感と人々の生活を映し出している『シンデレラマン』は、ジョン・フォード監督の傑作『怒りの葡萄』をも髣髴させるシーンがある。『怒りの葡萄』は、ピューリッツァ賞を受賞したジョン・スタインベックの同名小説を元に描かれた社会派映画。大恐慌で生きる人々の悲痛さ、逆境を生き抜こうとする民衆の強さ、資本主義の不公平などを骨太に描く比類なき作品だ。だが、どん底から這い上がろうとするアメリカの心を見事に象徴させたヒーローの物語を重ね、"民衆の希望"というものを違ったアプローチで捉えた作品が『シンデレラマン』だと言えるのかも。
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大恐慌時代、貧困にあえぎ、希望を失っていた人々に生きる勇気を与え、明日への光を感じさせたジム・ブラドックだが、彼と同じ時代に、やはり人々を勇気付けたヒーローがいた。それは一頭の競走馬、シービスケット。すばらしい血統を持ちながら、その才能を生かせずにいた彼と、3人の男たちの運命の出会いが、恐慌でどん底にあったアメリカを湧かせたのは、偶然にも同じ時期である。そして、なんとも不思議なことに、シービスケットもブラドックと同様に奇蹟の復活劇を見せている。競走馬には致命的といわれる足の故障を克服し、見事に全米最強の力を披露したのだ。才能と数奇な運命のみならず、その驚くべき強運は、ジャーナリスト、ローラ・ヒレンブラントの著作「シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説」を元に、『カラー・オブ・ハート』のゲイリー・ロス監督によって映画化されている。 |
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