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 1954年4月23、マイキーが生まれたのが巨大企業ゼネラルモーターズのお膝元でもあるミシガン州フリント。10代の頃から政治活動に目覚めたという彼は、地域紙を創刊したこともある生粋のジャーナリスト。GMの工場閉鎖による大量解雇にともない、貧困の波が地元を襲ったことをきっかけに撮影されたのが1989年に製作記念すべき長編ドキュメンタリー・デビュー作『ロジャー&ミー』。街の窮状を見てもらいたいと、GMのロジャー・スミス会長に突撃アポなし取材を敢行するが、拒絶され続ける様が記録されている。この作品はドキュメンタリーとして異例のヒットを記録しただけでなく、批評家からも絶賛された。その後も、社会の矛盾に鋭く切り込む精神は、劇映画『ジョン・キャンディの大進撃』(1994)、『ザ・ビッグ・ワン』(1997)、TVシリーズ『マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人』(1999)を経て、『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)、『華氏911』(2004)に反映されている。
 
 辛辣かつ過激な発言で知られるマイキーだが、実は良き家庭人。妻はマイキーの映画のプロデューサーでもあるキャスリーン・グリン。著書にはよく奥方への感謝の言葉が登場する。中でも、最たる褒め言葉は「俺は強くて賢くて可愛い女性たちに取り囲まれて暮らしてきたおかげで、ずいぶん人間として良くなったと思ってるよ」(「アホでマヌケなアメリカ白人」 "男たちへの挽歌”より)。
  公私ともにパートナーということもあり、公の場ではキャスリーンと常に寄り添うマイキーの姿が目撃される。マイキーの側で、彼と良く似た体形&雰囲気のふくよかな女性を見かけたら、それが彼女。
  また、もうひとりの“強くて賢くて可愛い女性”は娘ナタリーのこと。
 
 アシュトン・カッチャー主演の愛すべきアホでマヌケなアメリカ白人青年2人が、泥酔して無くした愛車を探すため、おぼろげな前夜の記憶をたどるという、世にもくだらない1日を描いたおバカSFコメディ。
  日本版タイトル「おい、ブッシュ、世界を返せ!」(アーティスト・ハウス刊・黒原敏行訳)で知られる著書の原題はこの映画の原題「DUDE, WHERE'S MY CAR?」をもじった「DUDE, WHERE'S MY COUNTRY?」。
  別の著書「アホでマヌケなアメリカ白人」の中では、北朝鮮問題を取り上げた章で、キム・ジョンイルにもっといい映画を見ろと進言し、3つのおすすめ作品を挙げているが、そのうちの1本がこれ。ちなみに、そのお薦めの言葉は「アメリカについて知るべきことは、すべてこの映画の中にある」。(※マイキーお薦めのその他2作については、自分で本を読んでお確かめください)
 
 SF作家レイ・ブラッドベリが管理社会を題材に描いた名作。本を読むことも、所有することも禁じられ、思考が悪であるとされる未来が舞台。禁止された書物を探し出し、焼却することを仕事とする消防士が、ある女性との出会いをきっかけに読書に目覚めるのだが…。
  本のタイトルにもなっている“華氏451度”とは、紙が燃え上がる温度、紙の発火点をさす。マイキーは新作に本作をもじったタイトルをつけ、“華氏911度”を自由が燃える温度としている。
  ちなみにブラッドベリの原作はフランソワ・トリュフォーが1996年に、映画化している。日本語タイトルは「華氏451」
 
 ケヴィンとピアースのラファティ兄弟とジェーン・ローダーの3人が制作したコミカルにして騒然もののドキュメンタリーが『アトミック・カフェ』。冷戦下の1940〜50年代のニュース映像や、米政府が製作したプロパガンダ映画を素材に、当時大衆を洗脳していた恐るべき嘘の数々を暴き、ブラック・ユーモア満載で編集した。これを観たマイケル・ムーアがケヴィンに、映画の撮り方を教えて! と頼んだところ、「いいよ」と二つ返事でOKし、わざわざフリントまでやって来て、撮影機材の使い方、ドキュメンタリー制作のコツなどを伝授したという。こうして出来上がったのが『ロジャー&ミー』。実際に彼は撮影スタッフとして名を連ねている。
  実はラファティ兄弟の母親は、ジョージ・W・ブッシュの母親バーバラと姉妹。つまり、ケヴィンはマイキーのお師匠にして、ブッシュのいとこ。マイキーとブッシュ家との不思議な因縁は、ここから始まった。
 
 アメリカ合衆国憲法修正1条(1st Amendment)が、言論の自由(freedom of speech)を唱えたもの。アメリカ人なら誰も知っているこの法律。過激な発言が注目されるマイキーはたびたびの脅迫、圧力を経験済み。なかでも、『華氏911』のアメリカ国内での公開について、ディズニー配給拒否を打ち出した騒動は有名。
  ちなみに、アメリカ合衆国憲法修正1条とは以下の通り。1788年に制定された現米合衆国憲法に、1971年に加えられた。
 ドキュメンタリー制作の際、突撃インタビュアーとしても活躍し、毎回画面に登場するマイキー。その独特な風貌と知名度ゆえか、自分の作品以外にも映画出演の経験が。意外や意外、ちゃんと演技しています…。

『ジョン・キャンディの大進撃』 (1994)
マイキー監督作品だが、初にして唯一の劇映画。ジョン・キャンディ、アラン・アルダ出演。辛口の社会風刺が効いた自作コメディの中にも、ちらりと出演。


『エドTV』 (1999)
ロン・ハワード監督作品。マシュー・マコノヒー、ジェナ・エルフマン、ウディ・ハレルソン出演。リアリティTVを題材にしたヒューマン・ドラマ。マイキーは、ディスカッションの討論者のひとりとして登場。


『ラッキー・ナンバー』 (2000)
『ユー・ガット・メール』のノーラ・エフロン監督作品。ジョン・トラヴォルタ、リサ・クドロー、ティム・ロス出演。マイキーは、リサ演じるロト・ガール(宝くじの番号を紹介する女性)のいとこで喘息もちのウォルターを演じる。映画自体はいけてないが、マイキーは迫真の演技を披露。