お騒がせしております、『華氏911』。『ボウリング・フォー・コロンバイン』よりさらに大きくなって(体積が!)パワーアップしたマイケル・ムーア、またもや驚きと感動で我々を包んでくれました。
カンヌ前から話題の尽きなかった本作。期間中も大盛り上がりのダントツ話題作ではありましたが、まさかの受賞に世界中が沸きました。ドキュメンタリー映画の受賞は『沈黙の世界』以来48年ぶり、という快挙! 日本のメディアもこれ以上ないヒートアップ状態で、滞在中から今に到るまで、問い合わせはひっきりなし。上映後から現在まで、朝日新聞では27回も取り上げられています! みんなが彼の情報を欲しがっています。
とはいえカンヌ直後は、本当に情報が何にもなかったんです。つまり…本編は?→なし。ビジュアルや予告は?→なし。なんでもいいから映像は?→なし! インタビューは? 音楽は? いつ観られるの? 対談させて!……!!と、毎日の問い合わせ殺到です。
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我々が『華氏911』の配給を決定したのは、まだ全く何もできあがってないとき。そもそもカンヌに行く直前まで、いわゆる正式出品に入るとは思ってもおらず、あくまでできあがったものを関係者試写で観られればラッキーというスタンス。それがコンペティション部門の出品とくれば、当然盛り上がります。そこにきてディズニーの配給拒否報道! 配給会社ミラマックスの親会社であるディズニーは、ミラマックスに配給禁止を命令したのです! ムーアは全米での公開が全く決まらないままカンヌ入りしたのでした。
この話題作、何もかもが「詳細未定」。カンヌ入り前にわかっていた情報によると、超プラチナチケットである夜の正式上映以外の試写は、小さな試写室でマスコミ向け試写が1回組まれているのみ。とにかく、世界中のマスコミ関係者が、そこへのアクセスをめぐって、右へ左へ大奔走。前日には、急遽、2回の追加試写実施が発表されましたが、そこでも世界中のジャーナリストたちが試写室に入るため、押せ押せの大奮闘でした。
当然ながら、記者会見はさらにヒートアップ。会場に入るため、多くの人々が壮絶なバトルを繰り広げられました。 ムーアは人と話すことが大好きなようで1問1問への回答が長い! そして、彼独特の視点とあのユーモアを交えるものだから会見は大幅に押して、かなり聞き応えあり。自分の考えをもたないジャーナリストへは鋭いツッこみを入れ、「かわいいでっかい変なおじさん」じゃない一面も見てしまった。
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とにかく配給会社問題でゴタゴタしていたカンヌ期間中。現地でのインタビューや記者会見など、宣伝を仕切るインターナショナルなPR会社というものがあるのですが、突然それまでのPR会社が降ろされるというハプニングあり。(こうなると、前任者は「もう私の仕事じゃないわ」というスタンス。カルチャーギャップ!)というのも権限の所在が不安定だったため。翌日に決まっていたインタビュー日程がすべて突然ドタキャンに! 参りました。当日、かろうじて1つ決まっていた日本人のジャーナリストのインタビューだけは、なんとか実現。日本としては、わずか1回だけですが、インタビューがとれました。
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取材現場に現れたムーア本人も何がなにやらよくわからん、という顔でもぐもぐ常にお菓子を食べながら一生懸命インタビューに答えていました。(前述の通り、1問1問にきちんと向き合って答えるので、答えが深くて面白い。でも長い…)
正式上映は、上映前から超異例のスタンディング・オベーションで迎えられ、上映中もドッと笑いがおきたり、エモーショナルなシーンでは啜り泣く声が。そしてエンドロールが流れると、大歓声&拍手喝采。いつまでもいつまでも鳴り止まない拍手はなんと、史上最長級の25分間! 素晴らしい瞬間に立ち会うことができました。
そしてそして何よりも素晴らしいのが最高賞、パルムドールの受賞!! まさかの出来事に涙ぐむムーア。本年度カンヌの審査委員長を務めたクエンティン・タランティーノはムーアの耳元で「政治は受賞と何の関係もない。ただ映画として素晴らしかったから君に賞を贈ったんだ」と話したそう。あの映画ジャンキー、タランティーノが絶賛する本作、そうなんです、1級のエンターテインメントなんです。
これだけ連日報道される本作、もはや映画という枠を超え、社会現象となっています。 『華氏911』ムーア独特のユーモアは健在。こんなのよく手に入れるよなーと思うような本当にみたことのない映像満載です(衝撃ものも、笑えるものも)。そして今回はなんと泣ける。エモーショナルに訴える映画としても素晴らしく、ちょっと新しい映画体験ですよ。公開まであと少し! 皆さん、次は日本だ! |
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