「『スターウォーズ』を観たときに初めて“これを作っている人は誰なんだろう? どうやったらこういう作品を作れるんだろう”という思いを抱いたんです。でもこれを日本で作るのは難しそうだなと思っていたその半年後くらいに最初のガンダムシリーズが始まったんです。それを見て、“日本でやるならアニメだ”と思った。それがアニメの世界に入ったきっかけですね。」

そう語るのは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』から引き続き監督を務める神山健治。一見、穏やかそうな雰囲気。しかし根底にある揺ぎ無い自信や強さ、この作品への強い思いがストレートに伝わってくる。

「方向性を決め、脚本をチェックしつつ、全体を演出する。というのが監督の仕事です。脚本を修正するにはパソコンを使用しますが、絵コンテチェックのときは鉛筆やらカッターやらで切り張りして構成全体をチェックします。各演出さんが作ってくれた構図や台詞をチェックする、1回目の編集作業のようなものですね。だから、席についていないと仕事が進まないんですよ。」

そう語る監督の席を見回すと、大きな深田恭子のポスターが優しく監督に微笑みかけている。ずばり、現実逃避なのだと語ってくれた。そしてもうひとつ、席の脇に達筆で掲げられた文字の数々。

「作業をする上で思いついたことを心に留めておこうと思って書いておくんです、忘れちゃうんでね。加えて、ここを通る人たちも気に留めてくれたらなぁと思い、張り出しているんですよ。」

そこには「考えるな!!」「愛と毒は有るか? 疑問と答え、そして疑問…」などが並ぶ。どれをとってもきっちり練れらたキャッチコピーの様。脚本も手がけ、ゲームのOPムービー等を手がけてきた映像作家の感性が垣間見えるようだ。

そんな彼の原動力はなんだろうか?

「やはり、お客さんの評判が良かったり、反響があったり、そういう意見や感想をいただいたときが一番力になりますね。またやっていける、そしてこういう機会がもらえて嬉しいなという思いですね。
監督は評価されれば天まで昇るし、けなされれば凹むし(笑)。お客さんの反応、反響、それがすべての原動力ですね。」


今やっている作品が常に一番であると語る監督。
スタジオのちょうど真ん中に位置するその座席からも、統括役である一面が窺われるのであった。
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