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この9スタジオのアイドルとも言える存在の奥村さんの担当は動画だ。いくらデジタル化が進もうとも、現在も動画までは人の手で1枚1枚丁寧に描かれているのだ。
「原画さんが描いた絵と絵の間に動くように1枚1枚絵を描いていくんです。タイムシートと呼ばれるカットを動かすための撮影処理や秒数など事細かに書いてあるシートを作成し、原画をトレース。タイムシートと原画の動きを見比べながら動画にしていきます。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(テレビの第1シリーズ)はものすごい大きな紙に描く、特殊な作画が多かったんです。それにほぼ全員銃を持っているし、タチコマは壊れるしで本当に大変でした」
こう話しながらも、手を動かし、実際の動きを見せながら説明をしてくれる。どうしても動画が上がらないときは「制作さんに許しを請いに行くことも…」というのもうなずけるような手間のかかる作業なのだ。そして、もうひとつ重要なポイントは、この動画担当のお仕事は1枚でいくらという歩合制になっていること。
細かければ細かいほど動画を書き上げるスピードが落ちてしまうのは致し方ない。そうすると(枚数をこなせないので)お金にならない。「2徹3徹で作業をしているとき、ふっと逃げ出したくなったり、自分が何をやっているのかわからなくなったりするんです。そんなときにここぞとばかりに忍耐力を振り絞って仕事をやりきるんです」と言う奥村さんの仕事をする上での必須アイテムは忍耐力と根気。
しかし、そんな苦しい胸の内は表に出さないぞというプロ意識が彼女を取り巻いているように思える。特殊な組織モノが好き、そして「新世紀エヴァンゲリオン」が大好きだからアニメーションの世界に入ってみようと決心した彼女の、仕事への愛情や自信はもはや揺るぎのないものになっているのだろう。
動画の次は原画、というのがアニメーション制作のステップアップの順序だそうだ。3年目を越した彼女は原画試験という試験をパスし、新しいステップへの道筋をつかみ始めている。
彼女の名前が原画としてクレジットされることも遠い未来のことではないかもしれない。 |
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