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今年のアカデミー賞授賞式でヒラリー・スワンクが2度目の主演女優賞を受賞した時、多くの人々が疑問を持ったことだろう。彼女の実力は『ボーイズ・ドント・クライ』で証明済み。実際のところ、「今さらもう一度彼女に賞をあげるなんていったいなぜなのだろう」と感じた人は周囲にも多かった。

だが、そんな感想は『ミリオンダラー・ベイビー』でのヒラリーの姿をひと目見れば、きっと変わってしまうことだろう。彼女は2度目のオスカーを受賞して当然なのだ、と。30歳までにオスカーを2度手にしたのは、 ルイーゼ・ライナー、ジョディ・フォスターに続き史上3人目という快挙である。そう、こんな幸運は誰にでも訪れるものではない。若くして2つものオスカー像を手にするには、それ相当の理由があるのだ。
圧倒的な美貌を誇るわけでもなく、とりたてて華やかなわけでもないヒラリーが、スクリーンに映し出されたとたんに、どんなハリウッド・スターにも負けない存在感と輝きを放ちはじめる。その秘密は、彼女のたどったサクセス・ストーリーに隠されている。

1974年7月30日生まれ。ネブラスカ州出身のヒラリーは、9歳で演技をスタートした。16歳で女優を目指しL.A.へ。下積みを経験しながらも、1992年に『バフィ ザ・バンパイア・キラー』でスクリーン・デビューした。幼いころからスポーツ万能、水泳では地元のオリンピック選考会にも出場したというほどの運動神経が買われ、『ベスト・キッド4』の主人公に抜擢される。人気TVシリーズ「ビバリーヒルズ青春白書」などを経て、1999年には性同一性障害の主人公を演じた『ボーイズ・ドント・クライ』で実力派女優たちを抑え見事にアカデミー賞主演女優賞を受賞。この作品での日当は75ドルだったという彼女の地名度、そして出演料は、その後一気に高まった。
こんな風に経歴だけを並べ立てると、彼女のキャリアは順調だったように見えるのだが、成功までの道筋は平坦なものではなかった。今年のアカデミー賞授賞式では、『ミリオンダラー・ベイビー』の主人公同様、トレーラーパークで極貧生活を送っていたことを明かしている彼女。女優を目指し母親とL.A.に出てきた当時は、トレーラーハウスならぬ、自家用車の中で寝ていたという話もある。そして、女優としての成功を夢見てオーディションに明け暮れる毎日、拒絶や降板も経験し、何度となく苦汁もなめてきたのだという。

さらには、最初のオスカー獲得後も、『ギフト』『マリー・アントワネットの首飾り』『インソムニア』『ザ・コア』など、ざまざまなジャンルの作品に出演するもののヒット作に恵まれない時期が続いた。彼女の出演作を観るたびに、“オスカーとキャリア低迷の関わり”が頭をよぎった人も多いはず。ところが、昨年出演した『ミリオンダラー・ベイビー』でそのジンクスを吹き飛ばし、再度オスカーを手にすることができたのは、役者として生きていくことを純粋に喜ぶ彼女のプロ意識ゆえかもしれない。
同賞の候補者たちへの敬意も忘れないという、オスカーでのスピーチも真摯な姿勢で現場に臨む謙虚な人柄を感じさせるものだった。25歳でオスカーを受賞することは、決して遅咲きではないのだが、それまでの長い下積み生活が、名声に溺れず仕事に情熱を傾けることのできる真の女優へと彼女を育てあげたに違いない。

プライベートでは、1997年にチャド・ロウ(ロブ・ロウの弟)とゴールイン。そのおしどりぶりはかなり有名だ。オスカー受賞の夜はパーティを何軒か一緒にはしごし、その後、イヴニングドレス姿のままハンバーガーショップに立ち寄って、2人でハンバーガーをかぶりついていたという。そんな飾り気のなさもヒラリーの魅力。彼女はハリウッドが生んだ新時代のシンデレラ、まさに“ミリオンダラー・ベイビー”と呼ぶに相応しい存在なのである。
『バフィ ザ・バンパイア・キラー』
『ベスト・キッド4』 『ボーイズ・ドント・クライ』 『ギフト』
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定価:¥2,625(税込)
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『マリー・アントワネットの首飾り』 『インソムニア』 『ザ・コア』
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