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DICTIONARY

Micro-Oxigenation ミクロ・オキシジェネーション
ミクロ・ビュラージュとも呼ばれる醸造テクニックのひとつで、樽熟成中の赤ワインに、ちょうど金魚のブクブクのようなものを使って細かな酸素を吹き込むこと。こうすることによって、赤ワインにふくまれるポリフェノール(タンニンやアントシアニンなど)が重合し、色が濃く、渋味の穏やかなワインに仕上がる。サンテミオンやポムロールなど、ボルドー右岸の産地で大流行だが、この技術を用いたワインが長持ちするかについては疑問とする識者が多い。もっとも、高級ワインを買っても、飲み頃まで長いこと待てないアメリカ人にはウケがいいらしい。

Terroir テロワール
フランス語特有の語彙で、ある土地の土壌、地勢、気候などを包括した言葉。産地固有の味わいを指し、「グー・ド・テロワール」などと言う。コシヒカリは魚沼産が最高だとするならば、それは魚沼のテロワールが反映されているから。同じくワインの場合、「シャンボール・ミュジニーが最もエレガントなピノ・ノワールを育む」などと語られる。「クロ・ヴージョでもXXさんの畑は斜面の下で水はけが悪いから、ワインに厚みが足りない」なんてまことしやかに語る、テロワール・オタクも少なくない。

Domaine & Negociant ドメーヌとネゴシアン
ワイン生産者の形態を指す言葉。ドメーヌは自社が所有する畑で収穫されたブドウのみからワインを造り、瓶詰めして販売。それに対して、ネゴシアンはもっぱら、他の栽培農家から購入したブドウ、果汁、若いワインなどを買い、醸造、瓶詰めして販売する。もちろん、ネゴシアンであっても自社畑を所有する場合もある。本作品の中ではユベール・ド・モンティーユがドメーヌで、ボワセがネゴシアン。同じワイン生産者でも、一方は農夫、もう一方は企業。

Flying Winemaker フライングワインメーカー
その名の通り、空飛ぶ醸造家。世界中至る所に顧客をもち、飛行機で飛び回ってワイン造りのアドバイスをする醸造家を指す。ヨーロッパの農閑期には、南半球のチリやアルゼンチンが収穫、仕込みの時期なので、年に2シーズン、ワイン造りを経験できる。世界12カ国を股にかけるミシェル・ロランは、フライングワインメーカーの走り。

Barrique バリック
ワイン熟成用のオークの小樽のこと。たいてい容量は225〜228リットル。何十年も使い続ける大樽に対して、4年ほどで新品と交換する生産者が多い。バリック、しかも新品の樽(英語でしばしばニューオークと言う)で熟成させたワインは口当たりが柔らかく、ヴァニラ、チョコレートなどの香ばしいフレーバーが付きやすい。こうしたスタイルのワインも、評論家ロバート・パーカーのお気に入り。

Wine Spectator ワイン・スペクテーター
アメリカで発行されているワイン専門誌。ロバート・パーカー発行の「ワイン・アドヴォケイト」は文字(と数字)だけの同人誌然としたものだが、こちらは大判、フルカラーの立派なライフスタイル誌。ワインを100点満点で評価するのは同じだが、スペクテーターのほうが点数が甘いともっぱらの評判。広告を一切掲載しないアドヴォケイトに対して、スペクテーターは広告満載。とりわけ広告出稿のお得意様に点数を大盤振る舞いする傾向がある。本作に登場するジェームズ・サックリングは、ワイン・スペクテーターのヨーロッパ特派員。

Super Tuscanスーパー・トスカーナ
フランスやイタリアではワインの産地名をラベルに記す場合、使用して良いブドウ品種や醸造法が法律で縛られているが、そうしたことにとらわれず、造り手の好きな品種、思い通りの醸造法で造られた超高級ワインがある。イタリアのトスカーナでは、「サシカイア」の登場を皮切りに、本作にも登場する「オルネライア」「マッセート」など、数多くの超高級ワインが誕生した。これらのワインをスーパー・トスカーナと呼んでいる。伝統的産地では一般にメインでの使用が認められていない、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロなどの外来品種を用い、バリックを使って熟成させるのが定番。

Vintage ヴィンテージ
この一つの言葉が、ワインの世界では様々な意味で使われる。「このワインは1985年ヴィンテージ」という場合は「1985年が醸造年のワイン」という意味になる。また「このワインは30年ヴィンテージだ」という場合は醸造してからの年数を表す。あるいは「ワインは、ヴィンテージものが好きでね」と言う場合には「年代もののワイン」を表す。英単語としては「ブドウを収穫する」「ワインを醸造する」など動詞として使われたり、単においしいワインを「ヴィンテージ」と形容したりするので、ますます紛らわしい。

Parkerization パーカリゼーション
カリスマワイン評論家、ロバート・パーカーが好むタイプのワインを作ることを揶揄してこう表現する。それというのも、パーカーが高得点をつけるワインは「売れる」のである。彼が評価したおかげで、赤字すれすれの極小ワイナリーから、ほぼ一夜にして高値で取引される「シンデレラ・ワイン」へと変貌を遂げたワイン生産者もちらほら存在する。パーカーは濃い重い赤を好む傾向にあるので、従来のテロワールに従ったワインの作り方をはずれ、人工的な手法で彼好みのワインをつくろうとするカリスマ・ワイン・コンサルタント、ミシェル・ロランにもちょっと逆風が。