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恋愛、結婚、そして離婚。愛する人と一生暮らしていければそれは幸せなことだけれど、 自分の人生を生きるためには、時に別離を覚悟しなければならないことも。

『NOEL(ノエル)』に登場する世代の違う女性2人は、生まれ育った環境も、 今置かれている状況も、そして直面している問題も全く違う。それでも、 人生における大切な岐路に立たされていることは同じだ。

Rose 独身・バツイチ・子供なし

スーザン・サランドン演じるローズは、現在独身で離婚経験のあるキャリア・ウーマンだ。唯一の肉親は入院中の重病の母親だが、ローズのことすら認識できず、毎日のように見舞いに行っても何も喋らない。最近では何も食べようとすらせず、心配は募るばかりだ。クリスマスの予定も特にない。すでに再婚している元夫が、ディナーに誘ってくれたものの、よけいに孤独が身にしみている。そんな時、同じビルで働く素敵な年下の青年とデートをすることになったのだが、孤独に馴れ、心を閉ざしている彼女は、「どうせ、自分は誰にとっても取るに足らない人間なのだから」と、どうしても新しい可能性に向って踏み出せないでいる。

Nina 結婚間近・でも婚約者に少々難あり

一方、ペネロペ・クルスが演じている才色兼備のニーナは、結婚を間近に控え、家族に祝福されながらも、婚約者の強い嫉妬心に悩まされている。仲の良い男友達に暴力を振るうほどの嫉妬心は、もはや「愛ゆえ…」と笑っていられないレベルだ。だが、ついに婚約解消という言葉が心の中に浮かんだとき、不思議なめぐりあわせによってローズと出会う。ニーナの悩みを知るとローズは、「真実の愛を見つけたら、闘いもせずに投げ出したりしないで」と伝える。それは、愛を失った者からの心からのアドバイスなのだ。

孤独ゆえの寂しさと、愛されすぎるがゆえの辛さという、一見、正反対であるかのような2人の悩みは、ありのままの自分でいることが難しいという点では根本的には同じであり、それは、当たり前のように自分を大切にすることができなくなるという息苦しさにも通じる。そんな状況から脱却しようともがいても、実は別の人生への新たなる一歩を踏み出すのは案外難しい。頑なな心を開き誰かの愛を受け入れることも、異常に嫉妬深い恋人との関係を見直すことも、同じように難しいのだ。

ローズとニーナは、お互いの出会いをきっかけに自分の人生を問い直し、そこに潜んでいるもの、すなわち、勇気を出しさえすれば自然に見えてくる新たなる可能性や、失いたくない愛、闘ってまでも守る価値のある真実に直面する。そして、結局のところ、幸せとは誰かがもたらしてくれるものではなく、自分の力で手に入れるものだということに気がつく。

本当の自分を信じて愛することが幸せへの一歩

幸せの色もカタチも、人それぞれだ。だからこそ、今おかれている状況に、不満を並べ立てたり、自分を哀れんだり、誰かを羨むことをやめて、今自分が手にしているものを享受することが大切なのだ。そうすれば、自らの心に正直になり、きっと自分にとって何が大切で、何が不要かを見極めることもできるようになるはず。それがもたらした選択が、誰かとの別離や、今とは正反対の人生を意味していたとしても、やがてはその選択が幸せの序章となることだろう。

本当の自分を信じて愛することが幸せへの一歩と気づき始めたローズとニーナの姿を見ていると、思い切れずにいた決断へと背中をちょっとだけ押されるような感覚を覚える。

人生は数々の選択の連続であり、時には大きな岐路に経たされることも多いだろう。だが、勇気と自信を持って一歩を踏み出すのも、不安を抱えたまま同じ場所に立ち止まるのも結局は自分次第だ。それならば、自分に向き合って、自分なりの幸せの可能性を信じて一歩を踏み出してみたい。映画『NOEL(ノエル)』はそんな気持ちにさせてくれる良作である。