母親の看病と仕事だけの生活を送る中年女性ローズ。嫉妬深い婚約者に頭を痛めている美女ニーナ。その婚約者で正義感の強い警官マイク。
病院好きの孤独な青年ジュールズ。カフェで働くなぞめいた初老の男性アーティ。複数の主人公が織り成す群像劇で、それぞれの物語をひとつに結んでいるのが天使のオーナメントだ。そもそもクリスマスはキリストの誕生を祝う祭りだが、マリアに受胎告知を行ったのが大天使ガブリエルなら、神の子の誕生を羊飼いたちに真っ先に知らせたのも天使。神の使いである天使は、聖なる夜には欠かせない存在というわけだ。
カフェで働く初老の男アーティが抱える謎を解く鍵のひとつとして登場するアーモンド・クッキー。クリスマスのときだけ食べられるお菓子というわけではないが、欧米でのクリスマスとクッキーとの間に切っても切れない縁がある。プレゼントを配りに訪れるサンタクロースを待ちかねる子供たちは、サンタが家にやってきたとき、疲れを癒せるようにと、ベッドに入る前にはミルクとクッキーを暖炉の側においておく。それがなくなっていたら、サンタがやってきたという印なのだ。
バツイチで子供なし。重病で入院中の母親は、娘である自分のことすら認識してくれない。そんなローズが、母親の見舞いに出かけた際、少しでもホリデー気分を盛り上げようと、病室の隅に飾ったのがクリスマス・ツリー。
クリスマスに欠かせないアイテムのひとつでも、その起源は実はあまり知られていない。そもそもドイツが発祥の地との説がある。ドイツでは昔から、モミの木に住む小人たちが幸せを運ぶと信じていたた16世紀ごろから花やキャンドルなどで装飾し、その周りを楽しく踊るという祭りがあった。それが19世紀にかけて欧米に広がり、クリスマスと融合したとか。モミは常緑樹であるため、永遠、希望などを象徴していたとか。ドイツのみならず、神聖な木として崇拝されていたのだそう。
最高の思い出は、14歳で体験した病院でのクリスマス。その幸せが忘れられず、入院するべく躍起になっている孤独な青年ジュールズ。
そんな彼が、自室に飾っていたのがスノードーム。円形のガラスの中で、ゆらゆらと雪が舞う。クリスマス・デザインのものが主流だが、名所旧跡をモチーフにしたもの、人気キャラクターを模ったものなど、種類も豊富。もとは19世紀ごろからペーパーウェイトだったとか。世界的に注目を浴び始めたのは、1889年のパリ万国博覧会で、当時できたてほやほやだったエッフェル塔を模ったものが作られたのがきっかけ。今では、実用品というよりも、オブジェに。その魅力的な小宇宙に魅了されて、特に欧米ではコレクターも多いという。
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