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たとえば「いったい世の中の人はどんなセックスをしているのだろうか?」という疑問、誰もが一度は考えたことがある愛についての350の疑問を、動物学の助教授アルフレッド・キンゼイ博士は1万8千人にインタビューし1冊の本にまとめた。人生のすべてを研究に捧げ、最後にひとつの大切な答えを見出す、そんな彼の姿を描いた映画が『愛についてのキンゼイ・レポート』である。キンゼイ博士をアカデミー賞俳優であり『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』のクワイ=ガン・ジン役も記憶に新しいリーアム・ニーソンが、そして博士への信頼と敬意を忘れず愛を求め続ける妻クララをローラ・リニーが演じ、制作総指揮は巨匠フランシス・フォード・コッポラが務めた話題作だ。

「cinemacafe.net」は、本作公開を記念した豪華トーク・イベントのゲスト“現代の愛についての研究者”漫画家の倉田真由美さんに独占インタビューを敢行、映画について、理想の愛について語ってもらった。

性のことは口にするのもタブーだった1940年代のアメリカで、キンゼイ博士がこの研究を始めたきっかけは新婚初夜でのセックスの失敗だった。研究熱心なあまり自分自身も同性愛を体験し、妻の婚外交渉(不倫)を認めてしまう彼について、倉田さんはこう語る。「自分に興味があるのならかまわないし、奥さんも納得してやっていたのならいいけれど、自分の趣味をパートナーに強要するのは吉と出るか凶と出るか結構微妙だなと思いました。ただ、いろんなことを経験してみたいなという気持ちは、私もよくわかります。火の熱さだって火傷して初めて熱さの怖さを知るわけだから? 結局人間体験してみないとわからないですからね。恋愛もそうです。どういう恋愛が一番気持ちいいかっていうのも、体験した中でしかわからない」。

1万8千人にインタビューをし発行した「キンゼイ・レポート 男性版」は当時“原子爆弾並みの衝撃”と称され、大ベストセラーになり世間を賑わせた。1万8千人の意見が聞ける…という状況は倉田さんにとっても興味深いことのようで、それについて彼女は次のように述べた。「素晴らしいですね。もし(私も1万8千人の意見を)聞けるとしたら、いろいろ聞いてみたいことはあります。仕事を楽しいと思っているか、どういうタイプの異性が好みか、どういう相手と恋愛したいか、結婚したいか。どういう時に、自分が一番気持ちいい・楽しいと感じるか。一生かかって1万人は届かないと思うけれど、300、400人でも話を聞いていきたいなという感じですね」。

その後、キンゼイ博士は女性版を出版し、マスコミから激しいバッシングを浴びる。当時まだアメリカは、女性の性が解放されるほど開かれた社会ではなかったのだ。数々の危機にみまわれた彼だが、妻クララとの信頼関係だけは少しも揺らぎはしなかった。そして、ひとりの女性のインタビューからある“愛”について気づかされる。


では、そんなエピソードにちなんで、倉田さんにとって“理想の愛”というものについて質問すると「私の好きなタイプの男性と付き合いたいです。そのタイプが具体的にわかっているから、結構厳しいんです(笑)。こういうしゃべり方で、こういう考え方で、こういう感じの顔つきで、こういう体格で…みたいな。自分が体験したことの中で一番いいもの、一番良かったことが恋愛の理想になるんですよ。理想の人は出会うとしても、人生にひとりかふたりじゃないですかね?」と現実的な(!?)コメントが返ってきた。

最後に、暴力をふるったりお金をせびったりするダメ男と付き合い続けてしまう女性たちを描いた倉田さんの漫画「だめんず・うぉ〜か〜」にちなんで、“だめんず・うぉ〜か〜”に多い女性のタイプについて教えてもらった。

「すごくいいコたちが多いですよ。あまり打算的じゃないコ。お金とか冷静に計算できるコは失敗しませんが、フィーリングとかで付き合っちゃうコは、結構ハズレをひいちゃうんです。それは服装とか髪型とかメイクに出ます。服装は、割と独自のセンスの人。どこでそんな服を?みたいな(笑)。あとは、見せブラじゃないのに、うっかりブラひもが見えていたりパンツが見えていたりという人かな。メイクにしても、なんでそんな形の眉毛?という人とか」。

結局、周りから自分はどういう風に見られているか客観視する能力がない人が多いんです。あと、自己評価が低い人やなんでも自分のせいにしてしまう人は、幸せになれないだろうなと思います」。

今も昔も“愛について”の研究者たちが実に研究熱心で好奇心が旺盛であることが今回のインタビューを通じてうかがわれた。「キンゼイ・レポート」と「だめんず・うぉ〜か〜」のふたつのレポートを通して、あなたも本当の“愛”について何か気づくことがあるかもしれない。

ちょっとマメ知識

実在したアルフレッド・キンゼイ博士は「キンゼイ・レポート」で大成功を手にしたものの、資金援助ストップや研究中断という挫折に直面し、62歳で死去しました。ではその後、彼の研究はどうなったのでしょうか?

博士が1947年、アメリカ・インディアナ州に設立した「キンゼイ・インスティテュート」では現在でも性に関する様々な研究が続けられています。91年には「最新キンゼイ・リポート」を発表。インスティテュートの内部は定期的に一般にも公開されているので、興味ある人はツアーに参加してみては?( 参考:Kinsey Institute

「最新キンゼイ・レポート」 販売元:小学館/価格:¥4,893(税込)



マダガスカル CINEMA INFOMATION
『愛についてのキンゼイ・レポート』
制作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
監督・脚本:ビル・コンドン
出演:リーアム・ニーソン、ローラ・リニー、クリス・オドネルほか
配給:松竹
劇場情報:8月27日より新宿シネマスクエアとうきゅうほか全国にてロードショー
インディアナ大学で動物学を教える助教授のアルフレッド・キンゼイ(リーアム・ニーソン)は、生徒だったクララ(ローラ・リニー)との結婚初夜に失敗したことから、性に関する実態を調査するべく旅に出る。同性愛、不倫…キンゼイ夫妻は当時まだタブーとされていたテーマに果敢に挑むが、それを支えたものは“愛”だった。やがて調査結果をまとめた「キンゼイ・レポート」は大ベストセラーとなるが…。