カリーヌ・ロワトフェルドといえば、ファッション界で知らない人はいないパワフルな女性。モデル、スタイリスト、トム・フォードと出会いミューズとしてインスピレーションを与え続け、写真家マリオ・テスティーノのアシスタントも務めてきた彼女。
その後、編集者となり「ELLE」誌で活躍。2001年からは、フランス版「VOGUE」の編集長を10年務め、その間、米国版「VOUGE」の編集長アナ・ウィンターとともに、モード界を牽引してきたことは、多くの人が知るところでしょう。そんな彼女を追ったのが『マドモワゼルC~ファッションに愛されたミューズ~』です。
アナのドキュメンタリー『ファッションが教えてくれること』も少し前に話題となりましたが、そこで描かれていたのが、編集のプロの職人の様な仕事ぶりだとするならば、本作ではアナとは対照的な芸術家気質のカリーヌの仕事ぶり、自然体のファッション“パリ風シック”なスタイルなどが存分に楽しめます。
ある世界に君臨し続け、ひとつのプロフェッションを極めることももちろん素晴らしいこと。でも、カリーヌの生き様はちょっと違います。2011年、編集長の職を辞した彼女は、アーティスティックなセンスを活かした仕事(例えば、世界的ブランドの広告キャンペーンをプロデュースしたり、クリエイターとコラボレーションして本を出版したり)を経て、2012年、自らのプロジェクトとして究極のファッション誌「CR Fashion Book」を創刊。
パワー、アイディア、センス、人望、カリスマを持つ選ばれし者だけにできる、既存の枠にとらわれない活動をスタートさせたのです。「VOUGE」の編集長を辞めるのは「王冠を外すようなもの」とカリーヌ。馴染んだ場所、手にした王座から離れ新しいことを始めるのは、歳をとるほど難しくなるもの。
雑誌創刊は「大きな冒険であり、リスクもある」と言いながらも、それにワクワクし、何をも恐れぬ姿勢であえて“人生最大のチャレンジ”に挑むのが彼女なのです。
途中、元雇い主からの妨害に遭い、多くのカメラマンが手を引いても、「おかげで新しい人脈を発見できたわ。結果的に良かった」と言ってのける。最高にカッコいい女なのです。大手出版社に目をつけられようとも、彼女のもとに集結している才能たちこそ彼女の財産。権力があるからではなく、一緒に面白い仕事がしたいから、彼女が大好きだから側にいる。
そんな風に思えるボスって素敵ですよね。カール・ラガーフェルドに孫のお守りをさせられるのも彼女ぐらいなものでしょう。
時折、「肝心な時にアイディアが浮かばないわ」「さっきまで自信があったのに、今はないの。なぜ?」と正直すぎる気持ちを明かし、観る者を驚かせますが、そんな本音を仲間と共有できるのも信頼だけでなく愛情関係があればこそ。強さだけでなく、弱さすら見せる彼女は、ボスというより愛すべき同志なのかもしれません。最後にスタッフが彼女の素晴らしさを語っていますが、その言葉には胸が熱くなります。カリーヌの凄さは「自分もこんな女性でありたい」そう思わせるところなのです。
もちろん誰もが真似できるわけではないけれど、その姿には人として仕事をしてきたゆえの成功の秘訣が詰まっています。同じ道を歩んでなくとも、彼女のエスプリから学べる姿勢がきっとあるはず。
カリーヌ・ロワトフェルド、今年60歳。
クールでキュートな彼女の秘密に触れることのできる本作は、まさに“かっこいい女のバイブル”として、大切にしたくなる1本なのです。
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(「マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン」)
2014年11月5日 DVD&Blu-ray 発売
©2013 BLACK DYNAMITE FILMS,TARKOVSPOP
≫ 公式サイト
■資生堂パーフェクト
ルージュテンダーシアー PK301<3名様>
カリーヌの、強く、そして美しい生き方に賛同した化粧品ブランド「SHISEIDO」が、本作とコラボレーション。
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