阿部力の代表作と言えば、TVドラマ「花より男子」の美作あきら役を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、今回彼が演じる凌という男は彼女の誕生日を間違えた挙げ句に愛想を尽かされてしまう何とも情けない男── でも、意外にも「凌と自分はけっこう似ているので演じやすかったですね」と阿部さん。「どうしようもないズボラ男で、何に対してもなんとかなるだろうって思っているマイペースなところが似ているんです(苦笑)」。どんなにダメ男くんであってもこの笑顔を見せられたら大抵の女性は許してしまうのかもしれない。
一緒に住んでいた恋人の涼子が出て行ってしまった後に、彼女と同じ声で話すフレンチブルドッグのペス(オス)を飼うことになった凌は、涼子に想いを伝えるためにペスと旅にでることに……というちょっぴりファンタジックな物語。
ワンちゃん相手の演技はさぞかし大変かと思いきや、阿部さん自身もミニチュアダックスフントを飼っていることもあって「自然な演技ができた」と語る。「普段は相手の役者さんにつられてしまうことがありますが、今回はワンちゃんが相手なので素の自分に近い感じが出ていると思います」ちなみに撮影時のペスの声は監督が代弁していたとか。
また、監督からは凌を演じるにあたってこんなアドバイスが! 「『凌はとにかくやる気のないダメな男だから──』と言われたんです。『そんなにダメなんですか?』って聞き返したくらい(苦笑)」。ということは、クールさを作り込んだ美作あきら役からは想像もつかない阿部力の姿が見られるというわけだ。
そんな監督お墨付きの“ダメ男”のどこに涼子は惹かれたと思う?と、ちょっと意地悪な質問を投げかけると「そうなんですよね…」と笑顔で答えるあたりがもしかしたら凌との共通点だったりするのかもしれない。
続いてペスとの共演について印象に残っていることを訊いてみた。
「すぐに道端に座り込んじゃうし、全然言うことを聞かないんですよ(笑)。撮影当初は生後4ヵ月半の仔犬だったので、強引に演じさせることはできなくて…。でも、僕の飼っている犬もペスと同じで言うことをきかないので、そんなにやきもきすることはなかったですね。あと、言うことをきかない時や、散歩中に動かなくなった時、今コイツは何をしたいんだろうって考えることは多かったです」と阿部さん。
そして、フレンチブルドッグは犬の中で物覚えの悪い部類に入るらしいことを伝えると「やっぱり(笑)! しつけ係の人が前日教えたことを全く覚えていないって嘆いていました。
犬一匹に大人たちが振り回されている現場でした…」と言いつつも「ペスはフレンチブルドッグの中でも特にかわいい顔をしていると思うんですよね」とその愛嬌にすっかりはまっている様子。また、「まだ歯が生えきっていないのに食べ物を丸飲みしてよく『カッ、カッ!』って喉を鳴らしていたんです。その姿がめちゃくちゃかわいくて、面白いんですよね」。こんなに阿部くんにかわいがってもらえるなんてペスの幸せ者!
主人公と犬のロードムービーであり、5年間同棲した彼女との恋を描いたラブストーリーでもある『イヌゴエ 幸せの肉球』。最後にこんなメッセージを残してくれた。
「涼子の実家を目指す旅で凌はいろんな出来事に遭遇して、成長して、気持ちが固まっていくんです。僕自身はまだ凌のような境遇になったことはないですけど、この役をいい教訓にしようかな、と。観終わった後に温かい気持ちになれる作品です」。男前な役で人気急上昇しているが、ちょっと天然の阿部力も魅力的だ。
(text:Rie Shintani)
(衣装協力)ネルシャツ:GRAFFITY×LIBERTINE(ガゼル・ヘッド 03-3477-8222)
ラグランTシャツ/パンツ:GRAFFITY(JET FIELD 03-3462-4562)
ほか私物
stylist:Go Ayano
日本で活躍するアジア俳優が増えている中、『about love アバウト・ラブ/関於愛(クワァンユーアイ)』で伊東美咲、『シュガー&スパイス 風味絶佳』で柳楽優弥、沢尻エリカ、と旬な俳優との共演と、弟に欲しくなってしまうような少年っぽい魅s力で早くから注目を集めているチェン・ボーリン。最新作『暗いところで待ち合わせ』では“完全な日本語”を披露している。もともと彼は日本語で冗談を言えるほどの語学力があったが、監督がこだわったのは流暢な日本語の発音。田中麗奈と共演した前作『幻遊伝』の現場でも撮影終了後、本読みを2人で自主的にやった成果もあり、物語のラストでの長台詞を見事決めているので注目して欲しい。今後ますます日本で活躍が期待される。
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