
「写譜師(作曲家の書いた譜面を清書する人)のアンナは、若く、才能があり、才能を生かして天才と言われるベートーヴェンを手伝いたいと思っていました。そして、彼を利用して世に出たい。という思いもあります。
愛しながらも、利用したいのです。
と同時に、偉大な存在であったベートーヴェンの孤独さに気付き、気付きながらも、お互いの師弟関係を守り続けようとします。
二人の関係は、年齢や性別や価値観を超えて、音楽によって繋がれ、保たれていきます。音楽が二人の会話となる。普通の恋愛関係とは、また違った関係ですよね。」仕事で憧れの存在に出会うと、まずはその共通点=仕事が共通言語になる。
アンナとベートーヴェンの場合、共通言語は音楽であり、それがあるからこそアンナは、同年代の恋人がいながらもベートーヴェンに従ってしまった。
アンナは、ベートーヴェンの側にいるようになってしまった。
さて、側にいて彼女が学んだものは?
「映画の最後ではなく、途中で、ベートーヴェンにとっての人生の絶頂である『第九の初演』を描いています。
これは、真の芸術家は、最高の仕事をしたからと言って、そこで終わることは出来ず、成功すればするほど、上を目指していかなければならないということを表しています。
芸術家は、最高の仕事の後も、自分の内面に耳を傾け、より苦しい世界へ進んでいく−。
アンナが、ベートーヴェンの近くにいて学んだのは、その苦しみです。」
一人の芸術家であるベートーヴェンの側にいて、彼の仕事を見て、彼の私生活に触れたアンナ。暴君である部分に最初は呆然としながらも、側にいるうちに、彼の仕事を、そして彼自身をも支えようとしたのは『尊敬』と『愛情』の思いがあるから。
そこにあるのは、師弟関係でも恋愛関係でもない関係。そんな関係が描かれた『敬愛なるベートーヴェン』。この映画を観終えた後、『敬愛』という言葉の本当の意味を知ることができます。
さて、あなたにとって、敬愛なる人は誰ですか?
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2006年12月9日より日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館、シアターN渋谷ほか全国にて公開
2006,イギリス、ハンガリー,東北新社
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