ガブリエル「ハンスがもう長いことデュアル・フレーム(二分割)で映画を撮りたいと言い続けていたの。
それならば、そのコンセプトに見合ったストーリーをまず作らなければダメよねって2人で話し合っていた。それでいろいろ考えて、じゃあ2人のキャラクターを追うスタイルで何か出来るんじゃないかと。そこが出発点だったはずだわ」
ハンス「もう10年間くらい一緒に仕事をしているから、もちろんその間にいろいろな発想、着想をふたりで話し合ってる。その中でこの物語は、自分の個人的な体験、つまり“ああ、こういうことあったなぁ”というふうに思わせてくれるものがあったんだ。
自伝的な映画はあまり好きではないけれど、もし沢山の観客が心動かされたり、共鳴できるものがあるのであれば、それは良いのではないかと感じて。誰もが、誰かを愛したことがあったり、別れた人と一緒に人生を歩んでいたらどうなっていたかとか、再会したらどうなっていたかということを考えたりするもの。誰にでも起きうることだから非常に良いのではないかと思ったんだ。
僕は、何年も添い続けるという経験はしていないんだけど…」
ガブリエル「あら、私の方にはあるわよ!」
ハンス「映画みたいにならなくて良かったね(笑)」
ガブリエル「今回の『カンバセーションズ』は1996年ぐらい…ハンスと会ったちょっと後ぐらいにビジョンとしてあったわ。でも、どういうストーリーにしていいかまだわからなくて。それから何年も経つうちに、いろいろな所から生まれたストーリーの断片がだんだんタイトルと重なってきて、形になったのよ」
ハンス「初めてタイトルを聞いたとき、(イングマール・)ベルイマン監督の作品みたいだなって思った。それですごく気に入って。ベルイマン作品に近いものがあるとも思うし。彼のよりは軽いけどね。特にベルイマンの『ある結婚の風景』を思い起こさせる、と言ってくれる人がけっこう多い。僕たちもあの映画、好きだけど」
ハンス「女性についての物語を撮ることに自分は非常に興味を持っていて、ガブリエルとタッグを組んでいるのはそれがひとつの理由だね。もちろん彼女が素晴らしい物書きであるということも、一緒に仕事をし続けている理由だけど…」
ガブリエル「(小声で)ありがとう」
ハンス「映画を作るにあたっては、今まで語られていないストーリーを語りたい。
男性についての映画が多い中で、女性にまつわ映画を、ベルイマンやウディ・アレンのような形で作り、ストーリーを描いていきたいと思ってるんだ。でも、自分にとってどんなにがんばっても理解できない存在なんだ、女性というのは。男性の場合は“何でそこにいるのか”“何をしようとしているのか”や動機だったりはすぐわかるんだけれど」
ガブリエル「それは映画の中でしょ?」
ハンス「いやいや、実生活でもわかるよ。でも、女性の場合は全くわからない。その複雑なところに非常に興味をひかれるんだよね。というのもその一因は、妹が3人という女性ばかりの家庭で育ったというのもあるんじゃないかな。今回の作品でも、男性キャラクターに感情移入できるのは当然としても、女性のキャラクターにも感情移入できるところがあるし…」
ガブリエル「私は女性だから、女性キャラクターを、どちらかと言うと本質的に描くことがあるわね。だから、男性はより意識して書くことがあるかもしれない。
ただ、そもそも男性のことをひどい存在だと思っていたら良いキャラクターなど書けるわけはないのよ。面白いのは、物書きとしてあるキャラクターに共鳴する、共感することはあるけれども、たくさんのキャラクターを書き終えて、いったんそこで共感を留める、という感覚があるわ。だから、この2人の主人公に共感はしているけれども、“こちらに、ものすごく共感している”とか“これは私なんだ!”ということはないの」
ハンス「僕は両方のキャラクターを見ていて、いまだに引き裂かれるような気持ちになるな。個人的に非常にこの物語と近い経験をしたことがあるからかな。でもそれは、男性の立場として経験したわけだけれど。女性を愛して、そして女性が自分の元を去って、また出会ってという経験だったから、より男性の方の気持ちがわかってしまう。まあそれでも、映画の中のキャラクターとして見れば、どちらにも等しく共感するかな」
ガブリエル「一般的には、男性の方がロマンティックだといわれるけれど、映画の世界では、男性が女性に比べてよりロマンティックだという風にはあまり描かれないわね。
でも、男性があまり深くいろんなことを感じないという風に描くなら、それは男性のことを非常に不正確に捉えてると思う。この作品の中では、女性の方はリアリスト。“コトが終わったら帰るわ”という行動に出るんだから。でも、男性の方がロマンティックだっていうのは間違いない。この映画の中では間違いなく男性の方がよりロマンティストよね!」
Ads by Overture
2007年2月3日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
2005,アメリカ,松竹
©CONVERSATIONS WITH OTHER WOMEN LLC ALL RIGHTS RESERVED.