
建築に詳しくない人でも、一度は目にしたことがあるに違いないフランク・ゲーリーの作品。神戸のメリケンパークにそびえる鯉の巨大オブジェ“フィッシュ・ダンス”。スペインのビルバオに建つビルバオ・グッゲンハイム美術館など、いずれも、一度見たら忘れることのできない強烈な存在感と個性を漂わせている。かつては、直線的な建築を手がけていたが、今では美しい曲線を活かすのがフランクのスタイルだ。
「感情を表したくなったんだ。曲線は動きを表す。感情を表す手法にはぴったりだと思ったんだよ。飛行機のように動きのあるものはみんな流線型をしている。感情の動きもこれで表そうと思った。直線も未だに使っているけどね(笑)」。

既成概念を打ち破る脱構築主義建築の旗手として、1970年代後半から注目を集め始めて以来、オファーは殺到し続けている。手がけた作品の数は半端ではない。
「自分の血を分けた子供のようなもの」。作品についてこう語るフランクだが、そこをあえて「今までで一番思い出深い建築は?」と訊ねると、「ディズニーシンフォニーホール」との答え。「実際完成まで18年かかったからね。完成したときは感慨もひとしおだったよ」。
そのシンフォニーホールにあるパイプオルガン、実は日本のあるものと縁がある。「ディズニーシンフォニーホールのパイプオルガンは実は伊勢神宮の鳥居からインスパイアされたものなんだ。日本の寺院が好きなんだ。東大寺、平等院、伊勢神宮、正倉院、桂離宮。あと皇居もね。日本は大好き。というか日本の文化が好き。雅楽も習っているんだ。なのに日本からは僕に建築の依頼がない(笑)。どうしてなんだ!?」
現在、世界各国でプロジェクトが進行中だが、ロサンゼルスを拠点に活動している彼は、デニス・ホッパーやブラッド・ピットら映画人との交流もある。今回のドキュメンタリーについて、「自分を客観的に見ることができて、すごく楽しかった」と話すが、それも信頼できる友達シドニー・ポラックがメガフォンを取ったからに違いない。
「シドニーと最初に知り合ったのは何年前かな? 15年、20年前? 出会いの詳細は覚えていないんだけど本当に良い奴だよ。今回のような共同の作業をしてからはより一層親しくなったように感じる。お互い辛いときも良いときもよく知っているが、さらにお互いの理解が深まったような気がする。彼は根っからの監督だよ。何でもディレクションをしてくれる(笑)。
レストランやワインを決めたり、旅行のスケジュールを決めたり。冗談はともかく、すごく親分肌なんだ。いつでも相手のことを真剣に考える。普通じゃできないよ。俳優たちに対してもまるで親のように接している。だからあれだけの信頼を勝ち得るんだと思うよ」。

本人も大満足のドキュメンタリー完成をきっかけに、さらなる注目を集めている建築界の巨匠フランク・ゲーリー。“魚”のモチーフを好んで使うことで有名だが、最近はボートが気になっているのだそう。「なぜかあの形が気になるんだよ」。

ボートをモチーフにした作品が近い将来生まれるかどうかはお楽しみとして、今後の予定は? 「どこまで話していいのやら(笑)。アブダビのグッゲンハイム美術館に関しては今最終調整中だよ。そうそう、今後はティファニーのジュエリーだけじゃなくテーブルウエアもやるよ。
御年78歳。彼の世界はまだまだ広がり続けている。
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2007年6月2日よりBunkamuraル・シネマほかにて公開
2005,ドイツ、アメリカ,ワイズポリシー
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