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ちょっと遅れてやってきたスーパー・スター、ジョニー・デップ
1963年生まれの彼は、1986年の『プラトーン』あたりからジワジワと、そして1990年の『シザーハンズ』ではしっかりと、映画ファンの間で知名度を高め、すでにスターではあった。だが、規模にこだわらない作品選び、変わった役ばかりを好むことから、いわゆるメジャー・スター達とはどこか違って異端児的。 90年代には、『ギルバート・グレイプ』『ドンファン』『フェイク』『ラスベガスをやっつけろ』『ナインスゲイト』など、 鬼才と呼ばれる監督との作品が目立ち大いに活躍していたものの、“大ヒットに恵まれない人気俳優”でもあった。


ジョニーデップ ところが、その彼がメジャーの世界に殴りこみをかけた。それが2003年に全世界で公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』。娯楽大作を意図的に避けてきたかに思われた彼が、正面から挑んだ冒険活劇である。独特の役作りに定評のある彼は、 海賊であるキャプテン・ジャック・スパロウという役に魅力的な個性を与えた。いい加減なのに実は人情派、飄々としていて抜け目が無い。 荒くれ者のようでいて紳士的な一面も。さらには、ロック・グループ、ザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャードを参考にしたと いう外見作りも見事成功。ジョニーの創造力が、ジャックを映画史上屈指の人気キャラクターへと押し上げたのだった。それだけではない。 その演技は業界からも賞賛され、ジョニーはデビューから19年目にして初のアカデミー賞主演男優賞ノミネートも受けた。


とあるインタビューで彼は「子供たちがこの男を気に入るように役作りし、そう努力したつもりさ。成功したと思いたいけど」と話している。 もちろん、ジョニー演じる前代未聞の海賊ジャックの魅力がなければ、前作は全世界で6億5000万ドル(約750億円) を越える大ヒットを記録することはできなかったはずだ。


パイレーツは9000作目まで作りたい!?
キャプテン・ジャックスパロウところが、続編となる最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』では、すでに前作を上回るほどの、そして全米興収歴代1位の『タイタニック』が持つ約6億ドル(約690億円)を越える世界的ヒットが見込まれている。 日本より一足先に公開された北米では、公開4日目となる7月10日(月)に約1800万ドル(約20億円)を稼ぎ出し、平日の興収新記録を達成した。 平日の興収記録はこれまで、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』の約1400万ドル(約16億円)がトップ。 これで、いかに凄いことになりそうか、きっとお分かりいただけるだろう。


このヒットと同時に、日本のジョニー熱も上昇中。去る7月10日の来日時には、ジョニー・デップ、オーランド・ブルームらの来日の噂を 聞きつけ、空港に集まったファンの数は約3500人。あのぺ・ヨンジュン来日時の数に匹敵する程だという。 そんな彼は、同日行われた会見で「何よりもまず1作目でクビにならなかったことが嬉しかったよ(笑)。でも幅広い層に受け入れられて本当に嬉しい」「パイレーツは9000作目まで作りたいね」とご機嫌だった。


ジョニーデップすでに、同作は3作目の制作も進んでいる。それでも、「またキャプテン・ジャックを演じたいよ。だって、演じるのはものすごく楽しいし、 掘り下げる余地は多分にあるからね」とまだまだ演じ足りないようだ。確かに、徐々に秘密のベールを脱いでいるジャックは、作品ごとに その魅力をパワーアップさせている。最新作となる2作目では、何と、オーランド・ブルーム演じるウィル青年と、 その婚約者でキーラ・ナイトレイ演じるエリザベスとの間に入って、三角関係めいた展開も。では、シリーズ3作では、 どんな秘密と魅力を披露してくれるのか。来年の公開が待ちきれないファンのため息が聞こえてきそうだ。


「もし、シリーズ4作、5作と続くなら、僕も演じ続けるさ。そうしない手はないだろ」と続編が作られる場合には参加することを 表明している彼。以前よりもさらに引く手あまたとなったトップスターは、大変な愛妻家(妻はフランスのスター、ヴァッサ・パラディ)で、 2児の父としても子煩悩ぶりも発揮。子供ができたことで、『パイレーツ〜』はもちろん、『ネバーランド』『チャーリーとチョコレート工場』など、子供を意識した作品への出演も相次ぎ、出演作や演技にさらなる幅を見せていることもファンにとっては喜びだと言えよう。


名実ともに、トップスターへと躍り出た今も、家庭を大切にし、名声におぼれることなく、ひたすら演技を楽しみ続けているジョニー・デップ。今後も、どんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。

(text:June Makiguchi)