スイートリトルライズ

FEATURE INTERVIEW 中谷美紀×大森南朋 「揺れる大人の恋の狭間で」

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大森南朋が監督から求められたもの──

矢崎監督の代表作『ストロベリーショートケイクス』を観たときから「気になっていた」という大森さん。今回は矢崎監督とディスカッションを重ねながら聡という男性像を創り上げ「僕は聡ほど優柔不断なタイプではないと思うけれど、そういう男の心の揺れを表現したいと思った」と語る。

大森南朋

―聡を演じるうえで心がけたこと。また、共感できる部分できない部分を聞かせてください。

聡が瑠璃子と対峙するときに大切にしていたのは“距離”です。夫婦なんだけれどギリギリ夫婦に見えるか見えないか、近づけないのかそれとも近づかないのか、という距離感。それが監督の狙いでもあったと思うんです。池脇さんとのシーンを前半に、中谷さんとのシーンを後半に撮っていたので、違う映画を撮っている感覚だったことも面白かった。特に朝食のシーンでの聡と瑠璃子の間合の取り方は、演じていて楽しかったです。理解し難かったのは、部屋に鍵をかけてゲームをしている聡の心理。たとえ倦怠期でもそれは失礼なんじゃないかと。もしも大好きな女性が聡のように鍵をかける女性だったら「やめた方がいい」って注意します、きっと(笑)。

―気になっていた監督との仕事が実現。矢崎監督はどんな監督でしたか?

芸術家肌の監督さんです。現場ではいつもスーツにハット姿。けれど、妙に腰が低い。監督としてはS気質というか、自分の撮りたいものを粘り強く撮る監督でした。印象深かったのは、カットになったシーンなんですけど、池脇さんとの絡みのシーンを上からのカメラで撮っていた時、監督が僕の肩の上からどうしても池脇さんの脚を出したいとおっしゃったことがありまして。その時「この監督はもしかしたら変態かもしれない!」と思いました(笑)。

映画のキーワードは“孤独”

この作品はとても空気感のある作品だ。そして、原作の行間が紡ぎ出すその空気感を表現するために映像で試みたのは、限られた台詞と限りない余韻。ゆえに言葉の1つひとつに説得力がある。特に瑠璃子の台詞は詩的で独特。中谷さんだからこそ演じられたと言っても大袈裟ではない。

―「夫婦に必要なのは赤と白のバラ…」など、瑠璃子の台詞はとても印象深く記憶に刻まれるものが多かった気がします。中谷さん自身はどんな言葉、どんな台詞に心打たれましたか?

瑠璃子が発した言葉ではないのですが、犬の飼い主のおばあさんの「1人でも2人でも寂しいものは寂しいんだよ」という台詞。そこから感じたのは──人に理解されたいというエゴと人を理解したいというエゴの両方があるけれど、そんなに簡単に人のことは理解できないものなんだなと。自分が理解してもらっていると思っていてもそうではないときもありますよね。ですから、孤独を理解した上でいたわり合えたらいいなと思うんです。

中谷美紀

―その“孤独感”は、瑠璃子にも聡にも強く感じました。中谷さん自身も“孤独”というキーワードを意識して瑠璃子を演じたのでしょうか?

1人暮らしであったなら孤独であることは当たり前で、孤独を感じることはなかったかもしれないけれど、2人でいることで余計寂しさを感じるのかもしれない。瑠璃子は聡にとても尽くす女性ですから、なおさら彼女の想いが一方通行のようにも感じられるんです。たしかに夫としては、帰ってきてすぐにあんなに色々と妻にしゃべられたら鬱陶しいだろうなって思いますが、女性は本来そういうもの。一見、聡と瑠璃子は特異な夫婦に見えるかもしれないけれど、実は世の中の縮図なのかなと思うんです。

愛はずっと続いていくものであって欲しい

聡の性格を、演じ手として「甘えん坊で優柔不断な軽い男だと思うけれど、分からなくもない」と苦笑いする大森さん。役柄を語るその言葉の端々から彼の内面が垣間見えた。

―聡と瑠璃子は理想の夫婦に見えるのに実際は孤独を抱えています。聡を演じたことで見えてきた理想の夫婦像、大森さんが望む夫婦像はどんなものですか?

普通に一緒にいられることができたら、それが一番いいですよね。瑠璃子と聡のように気を遣い合う夫婦は、僕だったらいたたまれないと思う。自分の家に帰っても自分の家じゃない気がするというか──。だから聡は部屋にこもっちゃうんでしょうけど。僕がどんな旦那になるかですか? 奥さんが懸命に掃除機をかけていて、その傍でソファに座っている僕は足をあげることしかできない、そんな旦那でしょうか。

―どんな時に孤独を感じますか?

誰からもメールがこない日が2日間続いたら孤独を感じます(笑)。でも、俳優という職業自体が孤独なのかもしれないです。

―聡と瑠璃子はお互いの愛を確かめるために恋をしているようにも見えました。最後に、大森さんの考える恋と愛の違いを聞かせてください。

難しい質問ですね。そうですね…恋は一過性のものだけれど、愛はずっと続いていくものであって欲しい。なんて、上手いこと言っちゃったかな(笑)。

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