悩めるヒロイン像に共感、心を溶かす男性の存在に胸キュンの『幸せのレシピ』
ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』をハリウッドでリメイクした本作で描かれるのは、完璧主義の女性シェフが人生を見つめ直す姿。マンハッタンの人気レストランで料理長を務めるヒロインの生活が、ある出来事を機に一変するところから物語は展開していく。ある出来事とは、主にふたつ。ひとつは、実の姉が交通事故で亡くなり、遺された幼い娘、つまり姪と一緒に暮らす必要が出てきたこと。もうひとつは、完璧主義ゆえにとっつきにくい印象を放つケイトとは正反対の、陽気な男性シェフが副料理長として店のスタッフに加わったことだ。
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仕事一筋で生きてきたケイトが子育て上手なはずはなく、心を閉ざしてしまった幼い姪との関係に心を痛めるさまはなかなか切ない。一方、ケイトを心の底から尊敬する副料理長のニックは、シェフと見ればライバル視しようとする彼女の頑なな心を何とか溶かそうとするのだが、彼の存在によってケイト自身が徐々に変化し、彼女と姪の関係さえも変化していく展開には胸キュンさせられるものがある。きっと、「ニックのような男性って素敵だなあ。こんな人、どこかにいないかな?」と、女性なら誰もが思うのではないだろうか。性格の頼もしさが全身から滲み出ていて、2児の幸せな母親でもあるキャサリン・ゼタ=ジョーンズからは消しがたい“お母さんオーラ”が出ている気がするが、それでもやはり、彼女が演じ上げた悩めるヒロイン像は共感を呼ぶ。ラブストーリーと呼ぶにはハートウォーミングで、ヒューマンドラマと呼ぶにはロマンティックな、味わい深い一作だ。