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「夜中の3時に電話?」『ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督の友達論

公私共に順調、自分の誕生日のディナーに参加する友達は何人もいる。そう信じて日々を過ごしてきた。だが、そのディナーのテーブルに着いた全員から、付き合いはあくまで仕事上のものであり、「君には友達はいない」と言われたら…?

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『ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督
『ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督
  • 『ぼくの大切なともだち』パトリス・ルコント監督
  • 『ぼくの大切なともだち』 -(C) 2006.FIDELITE FILMS—WILD BUNCH—TF1 FILMS PRODUCTIONS—LUCKY RED./WISEPOLICY
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公私共に順調、自分の誕生日のディナーに参加する友達は何人もいる。そう信じて日々を過ごしてきた。だが、そのディナーのテーブルに着いた全員から、付き合いはあくまで仕事上のものであり、「君には友達はいない」と言われたら…?

受け入れ難い事実に直面した自己中心的な性格の美術商・フランソワと、偶然出会ったお人好しのタクシー運転手、ブリュノ。中年男2人の不器用な友情を描いた『ぼくの大切なともだち』を引っさげて、パトリス・ルコント監督が来日した。
「これは友情についての映画ですが、ラブストーリーでもあります。愛も友情も孤独を癒す特効薬。愛もなく、友のいないひとりぼっちの人生は寂しい」と語る。

前作『親密すぎるうちあけ話』のジェローム・トネールと再び組んで脚本を執筆していて、原案はトネールが製作会社から入手したものだという。
「私たちに与えられたのは、冒頭の部分。友達がいないと指摘された男が、それを否定するために、彼らに親友を紹介するというばかげた賭けを思いつく。そこから先は私が作っていきました。自分でゼロから考えるのもいいけれど、今回のようにある程度出来上がったストーリーを提示されて、そこからふくらませていくのも好きですね。自伝的ではないけど、自分自身や周囲を無意識のうちに観察した中から出来上がった視点が映画になっています」。

今回は脚本執筆中にキャスティングについては全く考えなかった。
「誰かを念頭に書くこともありますが、今回は違いました。フランソワ役には、すぐダニエル・オートゥイユが頭に浮かびました。孤独で無愛想なイメージのある俳優が演じたら、『あれじゃ友達いないのも当然でしょ』と思われてしまう。だから、とてもオープンでみんなに好かれる雰囲気の人に演じてほしかった。彼に友達がいないなんて! と、観客が感情移入することができます。反対にブリュノ役選びは難航しました。ダニー・ブーンは舞台の独り芝居で活躍してきた人で、私も以前から注目していましたが、会ったことはなかった。彼の現実的なシンプルさは素晴らしいです。ブリュノ役が彼にとって映画での初めての大役でしたが、それ以後何本も出演し、監督もしていて、今後映画スターになれる人です」。

ところで、劇中では親友について「夜中の3時に電話できる相手」となっているが、監督自身にそういう“親友”はやはりいるのだろうか?
「いません。そんな時間に問題が起きたとしたら、自分でどうにかするよ(笑)。あるいは、妻を起こしますね。私には、いわゆる親友という存在はいません。もちろん友達はいますが、本当に問題があったときは彼らを煩わせたくない。自分で解決します。生活を共にするパートナーと親友は、やはり違うものです。パートナーというのは、互いに惹かれ合う関係を常に意識するものですが、親友にはそういう必要は一切ない。無条件で信頼出来て、そこに存在するだけでいい存在だと思います」。

《冨永由紀》

好きな場所は映画館 冨永由紀

東京都生まれ。幼稚園の頃に映画館で「ロバと王女」やバスター・キートンを見て、映画が好きになり、学生時代に映画祭で通訳アルバイトをきっかけに映画雑誌編集部に入り、その後フリーランスでライター業に。雑誌やウェブ媒体で作品紹介、インタビュー、コラムを執筆。/ 執筆協力「日本映画作品大事典」三省堂 など。

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