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儚き美をめぐる女の狂気を熱演 中越典子「完成した作品を観て泣きました」

数多くの作品が映像化されている天才漫画家・楳図かずお。彼が生み出す一度見たら忘れられない独特の画風、人間の奥底に潜む感情をあぶり出す心理的恐怖は、日本はもとより海外のクリエイターにも影響を与え続けている。そんな楳図作品の中でも特に人気の高い作品が「おろち」である。不思議な能力を持つ謎の美少女“おろち”が、人間界をさまよいながら人々を見つめるというオムニバス形式の作品だ。映画化にあたっては原作の9つのストーリーのうち「姉妹」と「血」に焦点をあて、美人姉妹の運命と執念を描いている。

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『おろち』 中越典子 photo:HIRAROCK
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数多くの作品が映像化されている天才漫画家・楳図かずお。彼が生み出す一度見たら忘れられない独特の画風、人間の奥底に潜む感情をあぶり出す心理的恐怖は、日本はもとより海外のクリエイターにも影響を与え続けている。そんな楳図作品の中でも特に人気の高い作品が「おろち」である。不思議な能力を持つ謎の美少女“おろち”が、人間界をさまよいながら人々を見つめるというオムニバス形式の作品だ。映画化にあたっては原作の9つのストーリーのうち「姉妹」と「血」に焦点をあて、美人姉妹の運命と執念を描いている。

監督に「いままでの中越典子の演技は納得できない」と言われました

29歳になると“美”が崩れていく血筋に生まれた門前一草(もんぜんかずさ)と理沙。その姉妹愛について、理沙役の中越典子は「考えても、考えても、彼女の気持ちに共感できなくて…とても悩みました」と言う。「この『おろち』は、様々な感情が凝縮されている漫画だと思うんです。理沙の場合、幼少の頃から感じていた妬み、憎しみ、恨み…といった感情がなぜ封印されているのかが疑問でしたし、またどのタイミングでそれを吐き出すのかが最大のポイントでした」と、演じる難しさを語り、楳図作品が放つ恐怖についてこう加える。
「撮影に入る前に原作を読みました。楳図かずおさんの作品から感じたのは、人間のあまりにもピュアすぎるがゆえに狂っていく感情ですね。もちろん原作も素晴らしいけれど、映画も原作を裏切っていない仕上がりだと思います。完成した映画を観て私、泣きましたから」。愛する姉・一草といつの間にか歯車が合わなくなりながらも、それを運命だと受け入れている──そんな理沙の悲しみが一気に爆発するクライマックスはかなりドラマティックだ。

天才漫画家の作品に挑む監督は、『リング0 バースデイ』('00)、『予言』('04)など、Jホラーの父として第一線で活躍する鶴田法男。彼から直々に「理沙役は中越さん以外に考えられない」とラブコールを受けたそうだが、そのときの気持ちは?
「脚本を読んだ直後は“この役をぜひやってみたい!”と思いました。でもそれは一瞬で、その後は“一体、理沙という女性をどう演じたらいいのだろうか…”という恐怖が押し寄せてきて、不安で仕方なかった。鶴田監督は一見、優しそうに見えますけど、実はものすごくサディスティックなんですよ(笑)。撮影が始まる前にどれだけプレッシャーをかけられたことか! 『いままでの中越典子の演技は納得できない、僕が君の魅力を引き出してみせる。僕は監督人生全てを懸けるから、あなたも女優人生全て懸けてくれ』って言うんですからね」。だが、監督の言葉によって奮起したのは言うまでもなく「理沙を演じたことで自分の新たな魅力を感じることができました。もう、鶴田監督のことが大好きです!」と、達成感があったことを笑う。

現在29歳。“おろち”的な恐怖体験を…!

また、門前姉妹と少女“おろち”の美しさが心理的恐怖を増長させている、それも作品の見どころだ。特に一草と理沙の乱闘は凄まじい迫力。女性の恐さを痛感する名シーンである。
「一草姉さんの動物的な感じが怖かったですね。例えば歩くときに壁を叩いたりするシーンとか。一草姉さんは瞬発的に感じて、瞬発的に行動に移す人。美しいからこそなお恐いんですよ」。そして、一草を見事に演じきった木村佳乃からも女優として多くの刺激をもらったという。
「鶴田監督と佳乃さんは『ドリーム・クルーズ』ですでにお仕事をしていることもあって、現場では佳乃さんがチームを引っ張ってくれたんです。彼女が監督とディスカッションしている姿を見て、役者が意見を伝えることも大切なんだと学びました」。

今年、ちょうど29歳を迎える中越典子。というわけで、29歳という年齢をどう捉えているか聞いてみると、なんと最近“おろち”的な恐怖体験したのだとエピソードを語ってくれた。
「額に一草姉さんと同じ痣が出来てしまったんです! とは言っても自分のうっかりで出来た軽い火傷なんですけど…。でも、ほんとに同じところで、しかも今年29歳だから、まさに“おろち”でしょう? もしも消えなかったどうしよう〜ってドキドキしました。傷はちゃんと治ったんですけどね(笑)」。

《text:Rie Shintani / photo:HIRAROCK》

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