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その美しさに引き込まれてしまう、キム・ギドクの切なき夢の世界に愛を考える『悲夢』

『サマリア』('04)でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を、『うつせみ』('04)でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど、新作を発表するごとに世界中から注目を浴びている韓国の鬼才キム・ギドク監督。「愛こそがすべて」と言い切り、これまでにも様々な愛の形をフィルムに収めてきた彼が、15作目の『悲夢(ヒム)』で描くのは、誰もが見る“夢”と誰もが経験する“恋”を融合させたラブストーリー。今回も魅力的かつ不可思議な世界を映し出している。

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『悲夢(ヒム)』 -(C) 2008 KIM KI DUK FILM All Rights Reserved
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『サマリア』('04)でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を、『うつせみ』('04)でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど、新作を発表するごとに世界中から注目を浴びている韓国の鬼才キム・ギドク監督。「愛こそがすべて」と言い切り、これまでにも様々な愛の形をフィルムに収めてきた彼が、15作目の『悲夢(ヒム)』で描くのは、誰もが見る“夢”と誰もが経験する“恋”を融合させたラブストーリー。今回も魅力的かつ不可思議な世界を映し出している。

別れた恋人を忘れることのできない男・ジン。別れた恋人に憎しみを抱き続ける女・ラン。ある日、ジンは夢の中で自動車事故を起こすが、あまりにリアルな夢に違和感をおぼえ車を走らせる。すると夢と同じ場所で実際に事故が起きていた。そして、ランという女性が逮捕される現場を目撃する。彼女はジンが夢で見たことを無意識のうちに(夢遊病の中で)行動していたのだ…。何ともファンタジックなストーリーの背景には、監督が実際に事故に遭う夢を見た体験と、荘子の思想を表す代表的な説話「胡蝶の夢」がモチーフになっている。

ジンとランを演じるのは日本を代表する俳優オダギリジョーと韓国の実力派女優イ・ナヨン。かつての恋人への想い、目の前で苦しむランへの想いを痛々しくも美しい愛で演じきったオダギリジョーの演技が特に絶賛されている。ちなみに、彼はオール日本語での参加。あふれ出る感情を表現するには母国語である必要があるという監督の意図で、それぞれの母国語で会話が成立している。ありそうでなかったこのアプローチには観客の多くが驚かされるだろう。だが、戸惑いは一瞬で、いつの間にかキム・ギドクの世界観に引き込まれ、愛についてどっぷりと考えさせられてしまうのだ。

《text:Rie Shintani》

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