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鬼才・園子温&AKIRA “1+1=2”で作り上げた命の物語『ちゃんと伝える』

『自殺サークル』、『紀子の食卓』と過激なスタイルで社会問題にメスを入れ、各国の映画祭でその名を知らしめてきた園子温。約4時間に及ぶ異色作『愛のむきだし』に続き、故郷へと戻った鬼才は、一連の作品群から見て“異色の”と言える、父と息子の命の物語を完成させた。そのタイトルは『ちゃんと伝える』。そして、映画初主演として監督の思いを継ぐべき者として抜擢されたのが、EXILEで華々しい活躍を見せるAKIRA。2人に本作について語ってもらった。

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『ちゃんと伝える』 園子温監督&AKIRA
『ちゃんと伝える』 園子温監督&AKIRA
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『自殺サークル』、『紀子の食卓』と過激なスタイルで社会問題にメスを入れ、各国の映画祭でその名を知らしめてきた園子温。約4時間に及ぶ異色作『愛のむきだし』に続き、故郷へと戻った鬼才は、一連の作品群から見て“異色の”と言える、父と息子の命の物語を完成させた。そのタイトルは『ちゃんと伝える』。そして、映画初主演として監督の思いを継ぐべき者として抜擢されたのが、EXILEで華々しい活躍を見せるAKIRA。2人に本作について語ってもらった。

——亡き父に捧げる一作として、園監督が本作で描くのは、余命を宣告された父と息子。これまでのエキセントリックな作風を取り払い、今回、敢えて映画の題材としては普遍的な“余命”を題材に選んだのはなぜですか?

園:余命モノの日本映画ってたくさんあるけど、死ぬ人がかわいそうとか悲しいとか単純なことで泣かせる感じの映画は全然好きじゃなくて、「絶対、俺はやらない!」と思ってたんだけど。親父が死んで、AKIRAくんと一緒に映画をやることになって(脚本を)書いてたら、「あ! これ余命モノじゃん! やべえ俺!」となって(笑)。いわゆる余命モノっていうのは生き残る人と死ぬ人の映画ですよね。でも今回は、(父と息子)両方が死ぬ側の気持ちで生きている。僕は余命何年か分かんないけど、いつかみんな死ぬという意味でみんな余命を生きている、そういう各自の余命を考えさせる映画にしたかったです。

——その“余命”というテーマで、AKIRAさんは父を案じながら自らも余命を宣告されるという複雑な役・史郎を演じるのに、苦労もあったのでは…? 2週間という短い準備期間の中で、どのように役作りをしていったのですか?

AKIRA:台本を読んだときにすごく素敵な脚本だなと思ったんですが、その次に実際にこういうご家族を持っている方やがんを患っている方たちに失礼のないように演じなきゃいけないと思いました。内面から史郎を感じていかなければこの役をやれないという感じで、良い意味でガッツリ自分を追い込みました。そしたら自然と見た目も3、4キロ落ちて、顔つきも変わっていきましたね。でも、撮影の合間にEXILEの仕事と往き来していたのですが、どっぷり役に染まっていましたので、逆に「EXILEを演じている」自分がいて、なんとも面白い新たな発見がありました。

——悲しくなりがちな“死”ということを、切なくも穏やかに、そしてどこかおかしさを含んで描いているのが印象的でした。そこに監督の意図はあったのでしょうか?

園:1本の映画を作るとき、泣かせるとか笑わせるとか、そういうことじゃなくて、“1+1=2”になるから、シーンを繋げていくだけなんですよ。テーマも物語も出来ていて、それが結果的に泣ける映画や笑える映画になっていくのであって、そういうのは意図させちゃダメだと思います。お通夜のシーンも、みんなちょっと笑ってたり、変な係の人がいたり…、葬式を経験すると、笑えるところがいっぱいあるんですよ。そのシーンを観て笑えちゃったら笑えちゃったで、しょうがないと思います。でもそれは観る人を笑わすためではなくて、全体を通して本当のことが言いたいな、と。

AKIRA:僕も作品が出来上がって、霊柩車で父親を運んだり一緒に釣りをするというシーンを改めて観たときは、あんなに斬新なシーンを本当に何でもないように美しく、切なくも温かく見せる演出だなと。いままで監督に対して、天才とか鬼才というイメージがあったんですけど、作品を観て、園子温監督という人間性というか、情熱やピュアさを感じさせていただきました。すごく素敵な作品で、自分が成長したときに、次もまた監督の作品に携わらせていただけたら、という気持ちになりました。

——監督の故郷・愛知県豊橋市で撮影が行われた本作。監督のご実家の台所が撮影に使われたり、監督自身のお母様までエキストラとして登場されているとか。これまでの監督作でも“家族”というのがベースになっていますが、今回は正面から家族と向かい合ってますね。

園:そうですね、ずっと家族をテーマにやってきたのですが、今回は社会の中の家族というような映画ではなく、時代とか社会の背景を全部抜き取っちゃって、もっとパーソナルな家族の映画を撮りたかったんです。家族がすれ違ったり、意志の疎通が出来なくても最後は再生していくという、誰の家族でもありうる、観客みんなの家族という風にしたかったんです。あと、父と息子というのは基本的に恥ずかしがっていて、お互い男のプライドもあるから、何か頑なだったりして。厳しくて、あんまり意思疎通が出来ないというのが、みんなの父親じゃないですか(笑)。AKIRAもお父さんにこの映画見せたい?

AKIRA:見せたいですね。やっぱり男同士なので、喋るのも恥ずかしいし、ちゃんと親孝行出来てるかって言ったら出来てないので。そういった意味で、すごく照れくさい部分もありますが、全身全霊をかけてやったので、この映画は自分の親に対しても自分の気持ちを代弁してくれる作品なんじゃないかなと思います。母ちゃんは、いつもは家族みんなで映画を観たりするんだけど、この予告編を観たときに、「いや、これはちょっと離ればなれで観たいね」って言ったんです。あ、予告編だけでも伝わるものがあったんだなと。お父さん、お母さんにも、一人の人間として感じてもらいたい部分はありますね。

園:観終わった後さ、家族みんなで話し合ったらおもしろいかもね。

AKIRA:そうですね、ちょっとこっ恥ずかしいですけど(笑)。
《シネマカフェ編集部》

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