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斎藤工インタビュー 『不良少年 3,000人の総番』で感じた、シンプルな男女の距離

昨年の末まで放送されたTVドラマ「QP」に続き、映画『不良少年 3,000人の総番(アタマ)』に主演。一昨年の主演ドラマ「クロヒョウ 龍が如く新章」の続編も4月からの放送開始が予定され、ハードな男の世界を描いた主演作が目を引く中、「最近、殴るか殴られるか、殺すか殺されるかみたいな世界の中心に居させていただく機会が多くて…(笑)。僕自身はいつも笑顔でいたい人間なんですけどね」と恥じらってみせる斎藤工だが、どの作品にも役者たる彼の熱が充満しているのは確かだ。

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『不良少年 3,000人の総番(アタマ)』斎藤工 photo:Naoki Kurozu
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昨年の末まで放送されたTVドラマ「QP」に続き、映画『不良少年 3,000人の総番(アタマ)』に主演。一昨年の主演ドラマ「クロヒョウ 龍が如く新章」の続編も4月からの放送開始が予定され、ハードな男の世界を描いた主演作が目を引く中、「最近、殴るか殴られるか、殺すか殺されるかみたいな世界の中心に居させていただく機会が多くて…(笑)。僕自身はいつも笑顔でいたい人間なんですけどね」と恥じらってみせる斎藤工だが、どの作品にも役者たる彼の熱が充満しているのは確かだ。

『不良少年 3,000人総番(アタマ)』は70年代に生きる不良高校生たちの青春ストーリー。昨年11月に公開された『明日泣く』でも学ラン姿をチラリと披露し、待機作の『愛と誠』でも学ラン着用の斎藤さんだが、もちろん本作も全編学ラン。「毎回、“もう着ないだろうな”と思っているんですけど、意外と着るものなんですよね…。こうなったら、今後も着続けようかなと思っています(笑)」と決意(?)する。
「何となく感じたことですけど、70年代の男子って“詰まっているもの”がある気がするんです。30歳の僕でさえ、彼らよりはまだまだ青いんじゃないかなって思うくらい。だからこそ、70年代を生きる人たちの学ランを背負うことは、年齢では片付けられない重みがありました」。

本作に携わるにあたっては、まさに「70年代」が自身の中のキーワードとなった。
「その時代感に惹かれるんですよね。僕自身は81年生まれだし、親の世代でもない。現実味のない年代ではあるけれど、ATG(日本アート・シアター・ギルド)の映画など、70年代のものにすごく影響を受けている自分もいるんです。そんな中、僕が演じたのは“不良”というよりも、いまは存在しない“番長”。“こうあるべき”というルールが崩れ出した時代の変わり目にいる人間の物語として、役の本質を作品に込めるのが僕のミッションだと思いました」。

演じた主人公・千藤鷹也は全校生徒の約半数が不良の高校に通う男。喧嘩に明け暮れる日々を送っていることからも、斎藤さん自身とは共通項の少ない役のように思えるが、「いつもそうなんですけど、“コイツはこうだから普段の自分とは喋り方を変えてみようかな”とか、そういったことがそもそもできないんです」と明かす。
「お芝居って、演じるというよりも、もっと中から出ちゃうもの。シンクロする部分と相違点がある中で、自分に寄せるというか、エピソードを重ね合わせていく過程があるんです。例えば、“30歳のいま、自分は何で役者をやっているんだろう?”という想いと“なぜ彼は世間から脱線していくんだろう?”という疑問が重なる。“じゃあ、もし自分がその時代に生まれていたら…?”と紐解いていくと、その時代を生き始められるんです」。

さらには、こんな“法則”も。
「『クロヒョウ』のときもそうだったんですけど、演じる役の第一印象が自分自身と遠いことって結構あるんですよね。“この役が何で自分に来たのかな?”って。でも、僕の中に役を見出してくれた人がいるわけで、そこには必ず運命がある。自分が役や作品に携わる意味が絶対にあるんです。例えば、『ゲゲゲの女房』で僕が演じた役はつげ義春さんがモデルになっているんですけど、僕の両親はつげさんの大ファンなんです。だから、つげさんに関する資料が実家に揃っていたことにも運命を感じたし、演じることを両親が喜んでくれたことにも意味を感じた。今回の作品で言えば、原作者である遠藤夏輝さんとの出会いに運命を感じた部分が大きいですね。千藤の物語は遠藤さんの実体験に基づいているんですが、この人の事実を改めて事実にする作業は、大変だけど意味のあるものじゃないかなと思いました」。

「役者というのは運命や意味を見つけていく仕事。その法則があるから、クサらずに役者をやっていけるのかもしれない。だから、作品を選ぶなんてことを役者はすべきじゃないし、これからも僕はそういうことはしません」と断言する斎藤さん。とは言え、硬派な千藤の不器用すぎる恋愛模様や喧嘩っ早さに疑問を抱くことは? と尋ねると、「それはあります(笑)」とポツリ。「そこは唯一ねじ伏せたところかもしれないですね」と認める。
「千藤は喧嘩のために女の子を何時間も待ちぼうけにさせたりもするけれど、僕が彼だったら“嫌われたらどうしよう?”と思ってしまう。僕の方がずっと臆病ですね。ただ、もしいまの時代だったらメールで“行けない”と伝えられるし、世の中全員がスムーズさの職人みたいになっちゃっているところもある。ある意味、精神的なクラッシュを避けていて、その分複雑にもなっているんですよね。だから、シンプルな男女の距離に憧れるし、当時の男女のリアルな距離として受け止めることはできました。僕自身はもっと優しいですけど(笑)」。

“女性に優しい男”の斎藤さんが、“映画に優しい男”でもあることはいまや周知の事実。インタビュー終盤、幼い頃から培われてきた映画愛が一気に顔を出した。
「きっかけは何でもいいんですよね。ただ、とにかく映画館に来て映画を観てほしい。いい作品って、やっぱり映画館で観ると気持ちがいいじゃないですか? その感覚が日常にあることの豊かさを知ってほしいし、映画館の持つパワーを僕は信じているんです。本当にきっかけは何でもいいから…、“チャン・グンソクが出ている映画です”とか、“僕が全裸になっています!”とか、嘘をついておきましょうか(笑)」。

チャン・グンソクは…出ていない上に全裸になっているのは「QP」なので別の作品だが、すぐさま真剣な表情に戻り「本音がむき出しで転がっている時代にタイムトリップできます」と自作をアピール。参考までに、斎藤さん自身が映画館に足を運ぶ“きっかけ”も聞いた。
「すごくミーハーですよ。キャストで選んだり、監督で選んだり、ポスターに一目惚れしたり…。改めて考えると答えるのが案外難しいですけど、本当の映画作りをしている人たちの匂いみたいなものは嗅ぎ取りたいなと思っていますし、嗅ぎ取ってもらえる映画作りをしていけたらいいなと思っています」。

《photo:Naoki Kurozu / text:Hikaru Watanabe》

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