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『きいろいゾウ』向井理&宮崎あおい 初共演での夫婦役も「すごく心地良かった」

満月の夜に出会ってすぐに結婚し、田舎の古い一軒家に暮らす若い夫婦のツマとムコ。互いの過去を何も知らないままだった2人が、それぞれの秘密にふれて傷つきながらも愛を深めていく姿を…

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『きいろいゾウ』向井理&宮崎あおい/Photo:Toru Hiraiwa
『きいろいゾウ』向井理&宮崎あおい/Photo:Toru Hiraiwa
  • 『きいろいゾウ』向井理&宮崎あおい/Photo:Toru Hiraiwa
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  • 『きいろいゾウ』向井理/Photo:Toru Hiraiwa
  • 『きいろいゾウ』向井理/Photo:Toru Hiraiwa
  • 『きいろいゾウ』向井理/Photo:Toru Hiraiwa
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満月の夜に出会ってすぐに結婚し、田舎の古い一軒家に暮らす若い夫婦のツマとムコ。互いの過去を何も知らないままだった2人が、それぞれの秘密に触れて傷つきながらも愛を深めていく姿を描く『きいろいゾウ』。主演の向井理と宮崎あおいは共に、以前から西加奈子の原作を愛読していたという。

特に、原作本の帯に「いつか、この小説の『ツマ』役を演じてみたいです。」とメッセージを寄せた宮崎さんは、確固たるイメージがあったはず。だが、廣木隆一監督のビジョンとどのようにすり合わせたのか? という問いに対する答えは、なるほどこれが演じる人の考え方なのかと思うものだった。

「私の中にツマさん像はなかったんです」と宮崎さんは言う。
「『ツマを演じてみたいです』と帯に書かせてはいただいたんですけども、西さんの書く世界観がすごく好きだと思っていた中で出てきた言葉だったので。西さんの世界の中に入れるなら、別にツマじゃなくてもたぶん喜んでいたと思うんです」。そんな中でめぐり合った本作について、「自分の中で感覚としてあるツマさんと、監督の描きたいと思ったツマさんは、きっとそんなに離れたものではなかったのではないかと思います」と語る。「現場に入ってからも、こうしよう、ああしよう、とお話しすることもほとんどなく、みんなの中で“ツマさんはこういう人”というイメージは一致してたと思います。あんまり違和感もなく、難しいと思うこともなく、自然にいられましたね」。

一方、向井さんは「原作だと、ビジュアルも書かれていたところがあったので、そういうイメージはしてました。でも、実際自分がやるとまた全然違うものになるので。そこは、原作はもちろん大事ですけど、やっぱり僕らの道しるべは台本ですから。そこで得た感触を大事にしていければ一番良いかなと思っていました」と語る。

個人的に大好きな小説でも、自分の中でイメージを固定せずに真っさらな状態で現場に臨む。俳優の仕事とはそうあるべきなのだろう。
「お話を最初にいただいたとき、特別な喜びみたいなものは正直ありました。だけど、現場に入ってしまえばほかの作品と変わらないですし、自分の中で好き過ぎるからこそ固まってしまうのは違うと思うので。あまり何も持たずに現場に入るようにしています」(宮崎さん)。「僕も、特別な意識を持って空回りすると嫌ですね。好きな作品だということはもちろん間違いないですけど、どの作品も大事なので、これも一つの作品として捉えています」(向井さん)。

2人は今回が初共演。それ以前はテレビ局などですれ違うことはあったが、軽く挨拶を交わす程度だった。
「全然喋ったことがなかったんです。写真とか映像から受け取る向井くんの印象はいつもちゃんとしてるじゃないですか。ちゃんとするべきなんですけど、表に出るときは」と自戒めいた調子で少し笑いながら、宮﨑さんは続ける。「すごいちゃんとした人なのかなって思ってて。で、お会いしてみたら、もちろんちゃんとしてるんですけど、ちゃんと普通な人で。王子様的な、特別な人みたいに取られてると思うんですよ、向井くんって」と言われて、向井さんは「そうなのかなあ」と意外そう。宮崎さんは「でも、一緒にいるときは、そう感じなかった。ムコさんとツマさんとして会ってるからかもしれないですけど。同じ空気を共有することがすごく心地良かったです」と言う。

向井さんも「ちょうどいいバランス、距離感だったのかな」と言う。「先入観を持って仕事をしないようにしています。実際自分が会って感じたのが、その人に対する僕の印象だから、(事前に抱いたイメージとの)ギャップはそもそもなかったです」。その上で宮崎さんについて「不思議な人ですね」とひと言。「絵を描くんですよ、この人。何とも形容し難い。でも、ツマさんってそういう感性で生きてる人だし、最初からツマさんとして見てたので、なるほどなって感じでした。ムコは見守る役です。自分から何かを能動的に発信するんじゃなく、見て影響を受ける人だったから、見てましたね、やっぱり現場では」。

向井さんから「なんかやってたよね、いつもね」と現場での過ごし方を言われて、宮崎さんは「ちまちまと。編み物したり、絵を描いたり本を読んだり、寝たり」とふり返る。「うん、寝てたね。本当に良い空間だったと思いますよ。ストレスの無い。そんなに気合いを入れてもいなかったです。カメラが回ってる回ってないは関係なく、そんな感じのテンションでしたね、常に」。

のんびりとした風景が目に浮かんでくるが、物語はただふわふわと幸福感に包まれているだけではない、ツマとムコが抱えるそれぞれの葛藤をヒリヒリするような生々しさで描いてもいる。
「あまり周囲と関わり合いを持っていない夫婦じゃないですか。もちろん近所の人とも仲良くしているけど、基本は2人で生きていっている。危うくもあるけれど、そこまでお互いだけがいればいいって思えるっていうのは、特別な関係なんじゃないかな。ツマさんの危うい感じは分かる気がするので。別に共感できるということでもないんですけど、感覚として分かります」(宮崎さん)。

「まあ、何考えてるか分かんないですし、急にそれこそ泣いたりわめいたり、怒り出したりする子供っぽい部分はあるんですけど、僕がいないところのシーンは結構大人っぽかったりして」という向井さんの言葉に、今度は宮﨑さんが「うん? 大人っぽかった?」と意外そうな表情に。「うん」と応えて向井さんは「ああいうキャラクターをやると、全編子供っぽくなる危険があるけど、それが全然無くて、ちゃんと大人の女性として存在してました」と言う。「やっぱり自分には見せない対外的な姿というのが、絶対夫婦だろうが何だろうがあると思うんですよ。それは親子にだって」。

2人で一緒にいるとき、それぞれが他者と対峙するとき、たった一人でいるとき。人が生活していたら、当たり前に変化するさまざまな表情のうつろいを自然に表現してみせた向井さんと宮崎さん。そのさりげなさが、何気ない日常と波立つ心を行き来しながら歩んでいくツマとムコの美しさを際立たせている。
《photo:Toru Hiraiwa / text:Yuki Tominaga》

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