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“戦争責任”を描く映画への出演に江口のりこ&永瀬正敏、迷いは「全くなかった」

『戦争と一人の女』の試写会が外国人特派員協会で開催され、上映後の質疑応答に主演の江口のりこ、永瀬正敏、井上淳一監督が出席。“戦争責任”について描いた作品とあって、外国人記者からは様々な質問が飛んだ。

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江口のりこ&永瀬正敏&井上淳一監督/『戦争と一人の女』外国人記者クラブ会見
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映画『戦争と一人の女』の試写会が外国人特派員協会で開催され、上映後の質疑応答に主演の江口のりこ、永瀬正敏、井上淳一監督が出席。“戦争責任”について描いた作品とあって、外国人記者からは様々な質問が飛んだ。

原作は坂口安吾の小説「戦争と一人の女」、「続戦争と一人の女」。戦争末期から終戦後の東京で作家と元娼婦、中国戦線で片腕を失った軍人の運命が奇妙に絡まり合っていく様を描く。

日本の他国侵略の責任、そして天皇陛下の戦争責任をも問う作品とあって外国人記者の一人からは「右翼団体からの抗議などはないのか?」という質問があったが、井上監督は「いまのところありません。この映画宣伝規模から言って、あまり知られてないというのがあると思います。何か言われるくらいの映画になりたいですね」と語る。

江口さんと永瀬さんにも「この映画に参加することが、今後のキャリアの障害になるとは考えなかったか?」という質問が飛んだが、共に「そういうのは全くなかったです」(江口さん)、「同じです」(永瀬さん)と即答。江口さんは「どの仕事をやるにせよ、失敗すれば次に繋がらないのは同じ」と語り、記者席からは称賛の拍手が沸き起こった。

井上監督は「これまでインタビューなどの取材を受けていても、日本のメディアからいまみたいな質問が出ることはなかった」と明かし、「日本の右傾化を外国人の方は感じているんだなということについて、改めて『やっぱりか』という思いです」とメディアも含めた日本社会の風潮への危惧を口にした。

また、劇中のレイプ・シーンに関しても監督は「主人公の女は『戦争が好き』、『(空襲を見て)燃えろ燃えろ』と言いますが、その先では多くの人が死んでいるわけです。この映画は予算がないので、そうした人々の死を描くことはできない。ならば、中国戦線で多くの中国人を殺し、犯してきた帰還兵を描くことで戦争の二次的被害者を描けたらと思った。『広島の原爆で(被害者は)30万人』、『現在のシリアでも何万人』という言い方をして、僕らはそれを数字として捉えてしまうけど、その一人一人に親や恋人がいて、夢や絶望がある。それを無残に描くことは、こういう映画を作る上での最低限の礼儀だと思った」と熱く語った。

江口さんは、演じる上で最も難しかった部分を尋ねられ「最初の方のシーンで、卵を料理しながら自分の過去が彼に対して申し訳なくて泣くところ」と語り、この役を演じる上で「戦争も知らないし、女郎もしたことないけど、その2つを経験したかのように体に入れないといけなかったので、本はたくさん読みました」と役作りについて明かす。永瀬さんはこのシーンについて「愛おしかった」と述懐した。

先述のレイプ・シーンの描写は、坂口氏の原作にはなかったが、映画化にあたって加えられた。この点について、日本以外の欧米などの諸外国の“戦争責任”との比較の中で「なぜ原作にない部分を加えてまで、日本の責任をここまで描くのか?」という意見、質問も…。

井上監督は「そういう意見を仰る方がこの国でどんどん増えてきたので、あえてやりました。欧米やイラクで同じことが行われていたからといって、日本がよその国を侵略したことが正当化されるとは思いません。それを“自虐史観”と捉える風潮だけは僕は絶対に許せない」と自らの意見を強調した。

いまなお議論や摩擦が絶えないテーマを扱っているとあって、最後まで記者陣の挙手がなくなることはなかった。

『戦争と一人の女』は4月27日(土)より新宿テアトルにて公開。
《シネマカフェ編集部》

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