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『キャプテンハーロック』小栗旬×三浦春馬インタビュー 俳優としての“強さ”

「人から聞いて面白いなと思ったんだけど…」と前置きし、小栗旬は何だか嬉しそうに続ける。「麻雀って上手いヘタだけでなく、強い人と弱い人に分かれるらしいんですね。強い人が上手いとは限らないし、ヘタだから弱いとも限らないって」。

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小栗旬&三浦春馬『キャプテンハーロック』/Photo:Naoki Kurozu
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  • 『キャプテンハーロック』 -(C) LEIJIMATSUMOTO/CAPTAIN HARLOCK Film Partners
  • 小栗旬『キャプテンハーロック』/Photo:Naoki Kurozu
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  • 三浦春馬『キャプテンハーロック』/Photo:Naoki Kurozu
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「人から聞いて面白いなと思ったんだけど…」と前置きし、小栗旬は何だか嬉しそうに続ける。「麻雀って上手いヘタだけでなく、強い人と弱い人に分かれるらしいんですね。強い人が上手いとは限らないし、ヘタだから弱いとも限らないって」。

麻雀? いったい何の話だ? 「それを聞いてね、自分も俳優として『ヘタだけど強い』ってところを目指そうかなって思ったんです」。ここまで積み重ねてきたものへの誇り、自分にしかできない芝居に対する自負、そして自分にはできないことをやってのける者たちへの嫉妬や羨望――自らの内にうごめく様々な感情を認め、向き合い、その全てを受け入れる。

傍らにいるのは三浦春馬。「憧れの存在」と公言する8つ年の離れた“兄貴分”のそんな言葉に頷くでも笑うでも困惑するでもなく、表情ひとつ変えず静かに受け止める。

2008年のドラマ「貧乏男子 ボンビーメン」での初共演から5年。先日公開されたばかりの3Dアニメーション映画『キャプテンハーロック』で2人は声優として再共演を果たした。本作で、2人の魂は宇宙戦艦・アルカディア号において交錯し共鳴している。

まずは主人公・ハーロックの声を演じた小栗さん。巨匠・松本零士が生み出した数あるキャラクターの中でも随一の人気を誇るヒーローの声を担当することに「正直、プレッシャーがないと言ったら嘘になる」と偽らざる心情を明かす。

過去に「宇宙海賊キャプテンハーロック」としてTVシリーズ、劇場版といくつもの作品が作られてきたが、今回は過去の連続性を断ち切り、あくまで新たな作品としてリブート(再起動)すると聞いて、覚悟を決めて飛び込んだ。
「(過去の作品の)マネをしても仕方がないし、マネをするなら僕じゃないだろうという思いもあり、自分なりにできることをやらせてもらうという思いでした」。

一方の三浦さんは、これまで声優の経験はゼロ。今回が正真正銘の声優初挑戦となったが、「3年程前から声優の仕事をぜひやってみたいと強く思っていた」という。“ハーロック暗殺”という密命を帯び、正体を偽ってアルカディア号に乗艦する青年・ヤマの声を演じている。

アフレコの現場には荒牧伸志監督に加え、脚本を担当した作家の福井晴敏も同席した。三浦さんが忘れられないシーンとして挙げるのが、ハーロックと向き合い、その真意を知ったことで、己の内にある正義と実の兄からの命令との間で葛藤していたヤマが物語の終盤で演説を行う場面。
「最初は気持ちを込めて熱弁をふるうという感覚かな? という思いで臨んだんですが、何か違うっていう感じでなかなかうまくいかなかったんです。そのとき、福井さんから『舞台上で一人、立っているイメージで。目の前に2,000人以上の人々がいて、あなたの言葉を待ってる。自分が持っている言葉を一人一人、奥まで届かせるようなイメージでやってください』と言われたんです。そうしたら良いものができて、さすがというか凄いなと心底思いました」。

小栗さんは現在30歳。近年は映画や舞台で三浦さんと同じ世代、20代前半の若い俳優たちと共演する機会も増えた。「これはあくまで僕の感覚だけど…」と断った上で、自らの世代を「はざまの世代」と語り、台頭してきた若い世代をこう分析する。

「僕らよりも上の世代というのは『芝居をすること』をよしとされ、『演じること』、時に大げさな芝居を求められてきたところがあると思う。僕らはその世代を見ながら少しだけ違う感覚で芝居をしようという思いでやって来たけど、さらに下の世代には、もう完全に感覚だけで芝居をする人たちがいるなと思う。僕らは上と下を両方見て、演技することを意識してやっている人もいれば感覚を重視している人もいる。でも下の世代には時々『勝てねぇな』って思うくらい感覚的なタイプもいる。目の前で見たら、そのとき感じたことをパッとやるから新鮮さを感じることも多いし、舞台で見るとムラがあるなと思うところもあるけど、それでもみんな達者ですよね」。

その中でも三浦さんの存在は、同じ世代の中でもまた違ったタイプとして小栗さんの目には映るようだ。
「春馬くんはどちらかというと結構、作り込むタイプだなと思う。肉体的にも精神的にも逞しくなってきましたよね。そもそも僕が彼の年齢の頃はまだ主役をやったことはほとんどなかった。春馬くんもそうだし、岡田将生あたりもそうだけど、どんどん主役をこなしてる。語弊があるかもしれないけど、主役でしか感じられないことって絶対にあると思うんです。僕自身、主役かそうじゃない時かでやはり責任の重さは絶対的に違う。だからその年齢で主役をやり続けているというのは、すごく大きなことだと思います」。

当然、小栗さんも下の世代に刺激され…と言いたいところだが、単に彼らの台頭を目の当たりにして、負けじと発奮するということではないようだ。冒頭の麻雀の例えはこの一連の会話から出てきたもの。

「求められるものに順応していかないといけないけど、やはり向き不向きはあるなというのが実感ですね。最近は無理して分かったフリをするのでなく、出来ないことは『出来ない』と言った方がいいなとも思うんです。麻雀の話を聞いて、俳優も同じだなって。何が上手いのか? と思いつつもすごい俳優さんもいれば、この人、上手いけどなかなかツモらねぇなって人もいるでしょ(笑)。俳優としての強いって何か? いや、分かんないです(笑)。もしかしたら圧倒的な熱量かもしれないし、強烈な存在感なのかもしれない。もちろん演技のスキルアップはしていきたいし、肉体的な部分では『出来ない』って言いたくない。でも『どうやったらこんなに自然に喋れるんだ?』と思うような若い人に出会うと、そこをマネしてもうまくいかないって感じる。ヘタクソでブサイクだけどそこに存在することに重きを置いて行こうかなと」。

言うまでもなく三浦さんも小栗さんに刺激を受け、背中を追いかけてきた。今回のアフレコでも2人が並んで収録する機会があったが「旬さんと生で芝居をするときに感じる緊張感や緊迫感が意識しなくともアフレコでも出ていて、ハーロックとヤマの関係にしっくりと当てはまっていた」とその存在の大きさを語る。小栗さんとハーロック、2人の共通点はそのカリスマ性にあると三浦さんは言う。

「周りにクルーたちが集まってくる。そういう光景はすごくリンクしますね。同業者もそうでない人も含め、旬さんの周りはいつも賑やかなんです。何に惹かれるのか? うーん、なんでしょう…?(ジッと小栗さんを見つめつつ)マジメな話も面白い話もできるから、魅力的な人だなってみんなが感じるんだと思います」。

実写映画、アニメーションでの声優での共演と来て、今度は2人の生の肉体が会話を交わすような舞台での共演を見てみたい気もするが…。
「実は旬さんも最近、そういう話をしてくれたんです。『舞台で一緒に出来たらいいね』って。ぜひやってみたいです!」。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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