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【インタビュー】マリオン・コティヤール、オスカー女優もときめくダルデンヌ兄弟の魅力

本年度アカデミー賞で自身2度目の「主演女優賞」ノミネートとなったマリオン・コティヤールの主演作『サンドラの週末』が、いよいよ5月23日(土)より公開

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マリオン・コティヤール主演『サンドラの週末』 (C)Les Films du Fleuve - Archipel 35 - Bim Distribuzione - Eyeworks - RTBF(Televisions, belge) - France 2 Cinema
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本年度アカデミー賞で自身2度目の「主演女優賞」ノミネートとなったマリオン・コティヤールの主演作『サンドラの週末』が、いよいよ5月23日(土)より公開される。フランスを代表する歌手エディット・ピアフの生涯を描いた『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(’07)でオスカーを獲得し、ハリウッド大作にも出演してきたマリオンが、かねてから大ファンであったベルギーの名匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の主演に迎えられるという“夢”をつかんだことについて、興奮を抑えきれずに熱く語るインタビューが到着した。

本作で彼女が演じたのは、病気休職が明けた後、不当に解雇を言い渡される主婦・サンドラ。彼女が仕事を続けるためには、週明けまでに16人の同僚にボーナスを諦めてもらい、自らの復職に投票してもらわなければならない。マリオンは、ときに傷つきながらも、必死に同僚1人1人を訪ね歩き、説得を試みる等身大の主人公サンドラを熱演。やがて、サンドラはその週末を通して、少しずつ自分にも、そして周囲に対しても希望を見出していく。

国際的に活躍し、トップブランドのミューズとしても輝きを放つマリオンを起用したのは、『ロゼッタ』『ある子供』で2度のカンヌ国際映画祭最高賞「パルムドール」を受賞し、『少年と自転車』では「グランプリ」を獲得するなど、カンヌ史上初の5作品連続受賞を誇るダルデンヌ兄弟。こだわり抜いたリアリティの中から覗く優しい視点と、演じる者の繊細な感情の機微を映し出す演出で世界を魅了する兄弟監督だ。

―― ダルデンヌ兄弟と撮影ができるなんて、叶わない夢だと思っていた…

「ダルデンヌ兄弟との出会いを、マリオンは「ベルギーでジャック・オディアール監督の『君と歩く世界』の撮影の際にすれ違いました。エレベーターでの短い出会いでしたが、それはとても印象的でした」とふり返って語る。その数ヶ月後に「ダルデンヌ兄弟が仕事をしたいと言っている」とエージェントから聞かされるが、「そのときの驚きと言ったら! 私にとって彼らと撮影をするということは、到底叶わない夢だと思っていましたから」と、オスカー女優は実に謙虚だ。

「女優としての経験の中で、アメリカでも映画に出演して、手の届かないような人々といままで仕事をしてきました。ダニエル・デイ=ルイスなど、例を挙げればきりがないですが。それでもダルデンヌ兄弟は特別でした。本当に手の届かない存在でしたから」。

そう語るマリオンは、兄弟との最初の面接からドキドキもので「自分を保つのに精いっぱいだった」とも話す。それでも、「脚本を読み始めたら、ダルデンヌ兄弟らしさがつまっていて、圧倒されました。私は喜びでいっぱいで、これはすばらしい経験になると思いました」。

―― サンドラを演じ、ダルデンヌ兄弟常連俳優と共演して

そんな思いで臨んだサンドラという役柄は、これまで彼女が演じたどんなキャラクターとも違う、実在するかような「普通の女性です」と言う。「選択の余地がないだけに、物事の価値が分かっている1人の労働者です。彼女は、自分を雇っておくことに投票するより、1,000ユーロのボーナスを手にすることを選ぶ人たちの気持ちが分かっています。彼女が彼らの立場だったらどうしていたかは誰にも分からないし、映画はどの登場人物も裁いてはいない。それが彼女の強さなのです」。

「彼女はある場面では、『自分は何者でもない』とすら言います。この無力感は彼女の奥底に住み着いていますが、それは自分の仕事と、あるいは仕事がないことと折り合いをつけることができない多くの人の心にも住み着いているのです。撮影の数か月前、仕事のことで自殺した人の記事、ルポルタージュを読んでとても心を打たれました。彼らはこの無力感に耐えるよりは、それに“けりをつける”ほうを選んだのです。この映画は、私の心に強く訴えかけてきたこうした出来事を反映しています」。

これまでもダルデンヌ兄弟は、酒びたりの母親とトレーラーハウスで暮らす少女が職場を突然解雇される『ロゼッタ』、貧しい暮らしの中で生まれたわが子を“売って”しまう若いカップルを描いた『ある子供』、父親に育児放棄された少年と偶然出会った女性が心を通わせる『少年と自転車』など、困窮し混迷する社会のあるがままを描き出し、それでも真摯に生きる人々に寄り添い続けてきた。

「それぞれの映画で、彼らは社会の現実を観察しています。そして同時に、映画の新たな冒険を発明しているのです。彼らの映画は作家の映画です。しかし、彼らはあらゆるカテゴリーを逸脱することに成功しています。彼らの映画は、絶対的に普遍的なのです」。

また、自身の復職のために同僚にボーナスを諦めるよう説得しなくてはならないという苦境に立たされるサンドラを、支え続ける夫マニュを演じたのは、ダルデンヌ兄弟作品常連のファブリツィオ・ロンジョーネだ。「彼はダルデンヌ兄弟の映画の世界に自然に溶け込みますが、それは、彼もダルデンヌ兄弟の映画の世界と同じ真実味にあふれているからです。ダルデンヌ兄弟に見守られながら、ファブリツィオと仕事ができたことは、私にとって大きなチャンスでした」とマリオンは言う。

―― 私がダルデンヌ兄弟の映画が大好きな理由、彼らとの仕事が大好きな理由

彼らの現場では、数多くの作品に参加してきたはずのマリオンも驚くエピソードがあったという。「撮影中やリハーサル中に、“観客”について話をすると、ほとんどの場合、監督は嫌がります。ある監督は、私が『観客は…』と言った瞬間に怒り狂って『観客なんてどうでもいい!』『観客のことなんて話すな!』と。ほとんどの場合、監督というのは観客について話したがらないものです」。

ところが、ダルデンヌ兄弟は違った。「リハーサル中にダルデンヌ兄弟が観客について話していたので、私はうれしそうに彼らを見ていたら、リュックが突然私のほうを振り返って言いました。『ここでは私たちは観客についてたくさん話すんだ』。彼らにとって観客はとても大切な存在です。彼らは脚本を、シーンを、観客のために作っています」。

「彼らが観客について話すのは、彼らがすることすべてが観客をどこか別の場所へ連れていくためだからです。私たちを驚かせたり、私たちの存在を、とても特別に感じさせてくれる。これが、私が彼らの映画が大好きな理由で、彼らと仕事をするのが大好きな理由です」と、生き生きとした表情で語る。

またダルデンヌ兄弟と映画を作りたいか?と問えば、「彼らが望むなら! 直ぐにイエスです!」と即答するマリオン。ハリウッドでも活躍する国際派スターでありながら、少女のように目を輝かせ、憧れの監督たちとの仕事がいかに特別なものであったかを語るその姿からは、愛と希望を抱いてひたむきに生きる、強さと繊細さを持ち合わせたサンドラに込めた思いが伝わってくる。

『サンドラの週末』は5月23日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》

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