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【インタビュー】ブリー・ラーソン&ジェイコブ・トレンブレイ、『ルーム』の思い出

アカデミー賞を含む、各国の映画レースで台風の目となった『ルーム』。閉じ込められた“部屋”から一歩も外に出ずに暮らすママを演じたブリー・ラーソンと、5歳の健気なジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイ…

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ジェイコブ・トレンブレイ&ブリー・ラーソン『ルーム』/photo:Nahoko Suzuki
ジェイコブ・トレンブレイ&ブリー・ラーソン『ルーム』/photo:Nahoko Suzuki
  • ジェイコブ・トレンブレイ&ブリー・ラーソン『ルーム』/photo:Nahoko Suzuki
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  • ブリー・ラーソン『ルーム』/photo:Nahoko Suzuki
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  • 『ルーム』 (c)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015
  • ブリー・ラーソン『ルーム』/photo:Nahoko Suzuki
アカデミー賞を含む、各国の映画レースで台風の目となった『ルーム』。閉じ込められた“部屋”から一歩も外に出ずに暮らすママを演じたブリー・ラーソンと、5歳の健気なジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの二人は、映画界の新しいスターとして注目を集めている。日本公開を控えた3月には、二人揃って仲良く来日。撮影の思い出を語ってもらった。

さっそく撮影から取材がスタート。二人で、次に一人ずつフォトグラファーの前に立ってもらうと、先に撮影を終えたブリーがジェイコブの様子を、目を細めて見つめている。その姿は、映画の中のママそのもの。とはいえ、記者会見で見せた息の合った掛け合いは、姉と弟といった風情でもある。

映画では素晴らしい親子の姿をみせてくれたけれど、いまの関係は? とブリーに訊ねると、「そうね、友達かしら。撮影後も、プロモーションで良く会っているのよ。インディーズ作品だから、たくさんツアーにでて、自分たちが一生懸命PRしなくちゃいけないから(笑)」とブリー。目線の先には、フォトグラファーの求めに応じて、さまざまなポーズを決めるジェイコブ。9歳ながら、すっかり一人前の俳優といった感じだ。「リラックスした感じね。もう取材にも慣れたのかしら」と訊ねると、「そうね、このPRツアーの間でだいぶ変ったわ。成長を間近で見ている感じね」と優しくほほ笑む。そんな話をしている間に、ジェイコブが撮影を終え席に到着。取材がスタートした。

ブリーが演じたジョイという女性は、同じ人物でありながら、“部屋”にいたときと、外の世界に出たときとでは、全く違った側面を見せる。演じるに当たり、気をつけたのは何だったのだろう。

「この役は、準備に8か月をかけたの。このキャラクターのいろいろな側面を表現しなければなからなったから準備が必要だった。まず私が掴まなければならなかったのは、もともと彼女はどんな人間なのかということ。学生時代は? 両親との関係は? 将来やりたかったこととは? といったこと。つまり、“部屋”で暮らす前の彼女の生活、人間性を捉えることが大切だったの」。

その後、心的外傷を受けた彼女が、どう変化したのかをリサーチしたという。

「辛い経験が人にどう影響を与えるのか、様々な要因を足し引きしながら、我々が映画の中で最初に出会うジョイというキャラクターを作っていったの。心的外傷の専門家に話を聞いて、実際にどういう変化が表れるのかを学んだり、栄養学の先生に指導を受けながら、かなり厳しい食事制限をしたり、日光を浴びないようにしたり、あらゆる面から準備をしたわ。いろいろ模索したけれど、結局撮影に入ってからも、彼女が見えているかどうか自分でもはっきりとは分からなかったの。ただ、彼女を形成する核となるものの中で、大きいものは2つだと思った。性的虐待の被害者であるということ、親であるということ。どちらも、人の心理に大きな影響を与え、大きな変化をもたらすものでありながら、私自身が人生で経験していないことだったので、被害者の方々、親である方々が映画を観たときに、誠実に描写されていると感じられるだけの演技をしなければならないということは、常に心にとめていたわ」。

一方、ジェイコブにとって大変だったこととは?

「難しかったのは、“部屋”からの脱出のシーンだったんだ。長いシーンだったし、どういう風にリアクションをしたらいいのかわからなかったからね」。すると「アクションもあったしね」とブリー。「そうなんだ。もう、ジェームズ・ボンドの気持ちが分かるよ!」とジェイコブはちょっと誇らしげだ。

経験したことのない気持ちを表現するのは難しいでしょうと訊ねると、「うーん。そうだね」。ブリーから、「そう、今回の撮影で初めて経験したことがあったでしょ」とヒントを出され、「そうなんだ。今回は、初めてカメラの前で泣いたんだ」とジェイコブ。「ママがストレッチャーで運ばれるシーンで…」。ブリーによれば「とても自然に涙がでてきたのよね。私たちにとっても素晴らしい経験で、終わったとき、よかったねと皆で盛り上がったのよ」とのこと。

こうしていても、とても息の合った二人。どのようにして信頼関係を築いていったのだろう。

「じゃあ、僕から話すね」とジェイコブが、「僕たちは、セットの外でもよく遊んだんだよ。レゴとかで」と打ち明けてくれる。その言葉を受けてブリーはこんな秘話を語ってくれた。「撮影前に3週間、一緒に過ごしたのよ。リハーサルではあったのだけど、とにかくジェイコブが私と仲良くならなければならないというプレッシャーを感じずに、自然に仲良くなれるようにしたの。一緒に過ごして、遊んで、一緒に食事をして、“部屋”のセットでも実際に過ごしたわ。映画の冒頭で日課が描写されるんだけれど、あれを実際に3週間行っていて、撮影がはじまってもその延長という感じだったわ」。

 6歳から演技をはじめ、前作『ショート・ターム』で注目を浴び、本作でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞など33の主演女優賞を席巻したブリー。現在26歳で、アカデミー賞を受賞したが、自らの今後をどう見ているのだろう。

「映画作りに対して全く気持ちに変わりはないの。アカデミー賞を受賞すると皆さんのイメージは変わるかもしれないけれど、役者としての本質に変わりはないから。愛とか人のもろさについて伝えたいという気持ちは変わらない。ただ、作りたい作品のコントロールがしやすくなるということ。より懸命な選択をして、素晴らしい作品を皆さんと分かち合える機会が増えるという意味では、変化があるかもしれない」。

ブリーのオスカー受賞にとても感動したというジェイコブは現在9歳。5歳から演技を始め、本作の演技でナショナル・ボード・オブ・レビューでのブレイクスルー映画賞他10の映画賞を受賞。自らも一気にスターダムにのし上がった彼の夢は?

「オスカーは欲しいけれど、一番大きい夢ではないんだ」。「じゃあ、一番の夢は? ジェダイになりたいの?」とブリー。「あ、マーベル映画に出たい! それか、『スター・ウォーズ』に出たい! マーベル映画って、いま、キャラクターがひとつの映画に勢ぞろいしたりするよね。あれがカッコイイから」。
《text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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