本日も9時からのコンペ部門のプレス試写で、中国のアニメーション作品『Have a Nice Day』(写真)へ。リュウ・ジェン監督は知る人ぞ知る中国のアニメ監督で、僕は恥ずかしながら初見だけれども、日本では「中国インディペンデント映画祭」で『ピアシング』(09)が紹介されている。『ピアシング』は実際の事件をもとに現代中国の道徳観をえぐる社会派作品とのことで、これは今後何としても見る手段を見つけよう。
というのも、新作『Have a Nice Day』が極めて面白かったから! 今作も現代中国社会のダークサイドを背景にしたアート作品であるものの、同時に非常に優れたエンターテイメントでもある。青年が盗んだヤクザの金に様々な人物たちが絡んでいく展開を、実に鮮やかに描いていくノワールで、これは中国のタランティーノだ。根柢にあるのは「欲」。経済大国の恩恵とは無縁な人々が悲しい欲に運命を狂わす。普遍性を備えた作品で、今後世界を席巻することになるのではないか?