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【インタビュー】俳優・佐藤健×声優・宮野真守 それぞれに演じた“亜人・永井圭”を語る

「実写版の序盤に出てくる、永井圭に対する人体実験のシーンに惹きつけられました。僕がアニメ版・永井圭を演じたときも、すごくキツいシーンだったんです…

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佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
  • 佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
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  • 『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社
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  • 宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
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「実写版の序盤に出てくる、永井圭に対する人体実験のシーンに惹きつけられました。僕がアニメ版・永井圭を演じたときも、すごくキツいシーンだったんです。亜人を演じるうえでなにがいちばん大変かというと、“命を繰り返す”つまり“死ねない”ということを、どう理解していけばいいのか…実際には誰も理解できないじゃないですか。それを佐藤さんが自らの身体を使って演じられている姿を観て、本当に感動しました」

そう語るのは、アニメ版『亜人』で主人公の永井圭を演じた声優・宮野真守だ。隣には、実写版『亜人』で同じく永井圭を演じた俳優・佐藤健が座っている。この日このとき初めて対面したという二人だったが、“亜人”という未知なる存在と“永井圭”という独特な個性を演じるにあたってそれぞれに導き出したものは、アウトプットが違えども大きく重なっていた──。

■“佐藤健”を完全に排除したくて、アニメ版をコピーしようと思った


そもそも、今回の実写版『亜人』で永井圭を演じるにあたり、佐藤さんはアニメ版での宮野さんの芝居を“がっつり”参考にしたという。「アニメの声優さんに、ここまで近づけようと思ったことは初めて」と語る佐藤さん。その理由として、「永井圭という別人になりたい」という思いに、宮野さんの“実写版に近い芝居”がハマったことが大きかったと明かす。

佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
佐藤:まず、アニメーション自体が実写に近い画の作り方をしていると思ったんですね。さらに宮野さんのお芝居も、いわゆる“声優さんの芝居”というよりは、実写に近いなと思いました。それで…僕が永井圭を演じるときに、自分のなかから出てきたものだけでやると、どうしても “佐藤健が演じている人”にしかならない。でも僕は、別人になりたいんです。佐藤健を完全に排除して、永井圭というまったくの別人になりたいと思ったときに、自分のなかから出てきたものだけじゃ限界があって。それで、何かないか探していたときに、宮野さんの圭を観て、これをコピーしようと思ったんですね。

宮野:セリフの間合いとかが、たぶん違いますもんね。

佐藤:そうそう。間合いや強弱が“僕のなかにはないエキス”だと思いました。だからこれを僕がコピーして、近づけようとすることで、別人になれるかなと思って。そういう意味でアニメをすごい観ましたね。撮影現場でも観ていたし、喋り方を近づけられそうなところは、そのまま近づけようっていう意識でやっていました。

佐藤健『亜人』/photo:You Ishii
宮野:『亜人』という作品の質感自体ももちろんですが、僕はそういうお芝居にチャレンジするのが好きなので、それが許される現場では率先してやるんです。特にアニメ版『亜人』は、先に声を録って、そこに画をつける“プレスコ”という形でやっていたので…。

佐藤:あ、そうなんですか!

宮野:より“自分の間合い”でセリフを言える作品なんですね。ですから、『亜人』の世界観におけるナチュラルな雰囲気も試しましたし、そこに自然に存在できたらなあと思って演じていました。

宮野真守『亜人』/photo:You Ishii

■ アクションシーンでの“リアリティの度合いとバランス”


“新感覚アクション超大作”と謳われるように、実写版『亜人』の見どころのひとつがバトルアクションのシーンだ。命を繰り返す亜人同士のエンドレスリピートバトルは次第に熱を増し、クライマックスに向けて激しいアクションシーンが畳み掛けるように続いていく。

『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社
宮野:特殊な性質を持っている難しい役だと思うので、佐藤さんが永井圭を、ご自身の肉体を使ってどう表現するんだろう? って思っていたんです。そしたら…もちろんたくさん苦労されたと思いますが、難なく演じられているように見えて、かっこいいなあって思ったし、なによりも、永井圭がめっちゃ強い(笑)。特に後半、どんどんアクションが激しくなっていくなかで、彼のクレバーな部分にフィジカルの強さがプラスされた実写映画版の永井圭は、非常にかっこよかったですね。

佐藤:ありがとうございます。やっぱり、ひとつのエンターテインメント作品なので、リアリティを追求していくだけじゃダメなんですよね。僕が漫画やアニメで把握した永井圭という人物を、リアリティを追求しながら役作りしていくというよりは、アクションエンターテインメントにしたかったので。だから、言ってしまえば…「いやおまえ、なんでそんな動けんねん!」っていうところなんですけど(笑)。

宮野:ふふふ。ですよね(笑)。

佐藤:でもそこは…僕がアクションをしたほうがいい映画になるって思ったんです。だから、バランスは難しかったですよ。戦いまくったりすると、お客さんが離れちゃうだろうなあって思って。お客さんが乗っかっていける、離れていかないギリギリの、でもかっこいいアクションっていうのを探るのが難しかったかもしれないですね。

佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
宮野:すごいなあ。肉体で演じるなかで、リアリティをどこまで持っていくか…アクションひとつ取っても追求されているっていうのは、すごく面白いお話だなあと思います。「リアリティ」って「リアル」って事ではないから…たしかに、急に格闘センスがアップすると、おかしいことになるんですよね。

佐藤:そうなんです。僕ね、具体的に言うと、パンチや蹴りは、ナシだったんですよ。

宮野:なるほどー!

佐藤:でも、銃はアリだったんです。あと、走ったり、飛んだり跳ねたりもアリ。これをやったらさすがに「おまえ誰なんだよ?」って思われちゃうだろうなっていうラインのギリギリですね。本当にリアルにすると、あんなに走れたり、高いところに飛べたり、銃を撃てたりできないはずなんですけど、ある程度は見せていったほうが、映画として楽しめる作品になると思ったから、バランスをみながらやってましたね。

宮野:だから違和感がないのかもしれないですよね。そういう意味では、アニメーションってけっこう無茶できちゃうんです。撃たれながらも走れたり(笑)、すごい勢いで追っ手から逃げたりっていうのも、意外とできるので。そう考えると今回の実写版は、“亜人という世界観のなかでのリアリティ”というところで成立されているんだなあと思いました。

宮野真守『亜人』/photo:You Ishii

■「正しい選択ができる」永井圭の「合理的な正義」


『亜人』の主人公・永井圭は、頭脳明晰のうえ、徹底した合理主義者として描かれている。ともすれば「利己的で冷たい」印象を観るものに与える主人公のパーソナリティーについて、演じる身として分析し表現した二人の言葉はほとんど同義だった。

『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社
佐藤:冷たく見えるっていうのは結果論なんですよね。僕が演じるときには「冷たさ」っていうのは一切意識してないんです。彼の賢いところと合理的なところ、自分のことを客観的に見て、感情をしっかりコントロールできるところ…中でも僕がいちばん大切にしたことは、「正しい選択ができる人」という部分です。賢くて、感情をコントロールできて、そのときの自分の最善策を見つけて、それを実行できる人。そういうことの結果が冷たさにつながると思っていたので、僕はつねに永井圭が、いまなにをするのが最善なのかっていうことを考えながら演じていました。

宮野:アニメシリーズが始まった頃に僕が言ってたことと、いま同じことを言ってらっしゃったので(笑)、びっくりしたし、とても嬉しく思いました。その通りだなって。僕はアニメ版のときに、そういった永井圭の性質が、ある意味いまの新しいヒーロー像なんじゃないかって思って演じたんですね。アニメ版ではただ真っ直ぐ根拠のない正義を掲げるキャラクターもいて、「だって、やらなきゃダメだろう!」って言うんですが、永井圭は結果を成し遂げられると思わないとGOを出さないんですよね。それは非常に合理的な正義だなと思って。

佐藤:うん、そうですね。

宮野:なので、演じていて非常に面白かったですし、人間の本質的な部分を永井圭から感じさせてもらいましたね。「自分がまずより良く生きていくためにはどうするか」っていうところが根本で。突き詰めると、きっとみんなそうなんですが、「正義のために」とかって掲げがちですよね。でも永井圭はそうではなく、非常にクレバーにその本質へ向かっていくので、ある意味正しいのかなって思います。それで冷たく見えてしまう…アニメのほうではよく「クズ」って言われてましたが(笑)、僕はそういう彼を理解したので、全然クズだと思えなくて。

『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社
佐藤:僕も漫画とアニメを観たときから、誰よりも永井圭に共感していたし、自分とかけ離れているキャラクターだとは全然思っていないので、そういう意味ではやりやすかったですね。

今回、宮野さんは実写版『亜人』で永井圭のIBM(インビジブル・ブラック・マター=亜人が分身として操る、人には不可視の存在)として声の出演をしている。アフレコでは様々なパターンを録ったと話す宮野さん。取材時には「まだ僕、どれが採用されているか知らないんですよ(笑)」と前置きしてから、今回の抜てきについて語ってくれた。

宮野:アニメ版だとIBMの声は、そのIBMを出す本人が喋っているんですね。永井圭のIBMは命令を聞かず自立して勝手に喋っちゃうんですけど、そのうえで彼の思念みたいなものがポロポロ出るっていう…永井圭の声で勝手に喋っちゃうみたいなイメージだったんです。ですから今回の実写版も、まず佐藤さんの喋った言葉を、そのまま真似するパターンを録りました。永井圭のIBMなので、佐藤さんのお芝居をそのままトレースしたパターンですね。

佐藤健×宮野真守『亜人』/photo:You Ishii
佐藤:僕観ましたが、宮野さんのIBMはすごく馴染んでいました。

宮野:どれだったんだろう(笑)?

佐藤:どれを使われたのかわかんないですけど、いい意味で馴染んでいて、ナチュラルなお芝居だなあと思いました。

宮野:よかったです(笑)!

佐藤:いやでも本当に、実写版『亜人』が決まってから僕、宮野さんに一度正式にご挨拶させていただきたいと思っていました。こうやって一緒に実写映画で関われたのは、本当に嬉しいですよね。

宮野:僕も嬉しいです。さっきご挨拶させていただいたときに、「本物の佐藤健さんだー!」って、思いましたもん(笑)。

永井圭と佐藤(綾野剛)の壮絶なガチバトルはもちろん、宮野真守のエキスを身体に取り込み“永井圭という別人”になった、佐藤健の表現のすべてに注目したい。

『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社
《text:とみた まい/photo:You Ishii》

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