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【MOVIEブログ】2019カンヌ映画祭 Day9

22日、水曜日。今朝は起きるのが辛かった!それでも何とか気合いで6時半に起きて、朝食食べて7時10分に外へ。晴れ!

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"Parasite"(c)The Jokers / Les Bookmakers
22日、水曜日。今朝は起きるのが辛かった!それでも何とか気合いで6時半に起きて、朝食食べて7時10分に外へ。晴れ!

8時半のコンペからスタートで、ポン・ジュノ監督新作『Parasite』(写真)。期待通りに、いや、期待以上に超面白かった!

親子4人が失業中の一家。長男が友人の代理で豪邸に住む裕福な家庭の子どもの家庭教師の職を得ると、その家庭に家族ぐるみで侵食しようとするが…。

以上はほんの導入部で、こう書くと心理スリラーのように伝わってしまうかもだけど、そうではなくて、華やかにブラックで、格差社会への痛烈な批判を込めつつもエンタメ感満載の、スケールの大きな家族ドラマだ。

いや、もう理屈抜きに楽しいし、面白い。予算もたっぷりかけており、アメリカ映画製作で培ったノウハウが存分に注入されている。エンタメと社会派の両者をこれほど見事に操れる監督はアジアにほかにいないのではないか、と思わせるくらいの、圧巻の出来。

現代の家族のひとつのあり方を示してパルムドールを受賞した昨年の是枝作品に続き、ポン・ジュノが全く異色の家族映画で栄冠に輝く可能性は十分にある!

続けて11時から「ある視点」のウクライナ映画で『Homeward (Evje)』へ。

帰属問題を巡って複雑な状況に置かれているクリミアを舞台にした父と息子の物語で、ウクライナで戦死した長男を故郷のクリミアで埋葬すべく、父親が次男とともに長男の遺体を運ぶ一種のロードムービーでもある。

監督は26歳。上映前に登壇すると、映画祭に感謝を述べるとともに、ロシア領で捕らえられているウクライナ人の政治犯解放に対して観客に理解と支持を求めた。明らかな姿勢を持って映画づくりに臨む覚悟に背筋が伸びる思いをする。

2014年のクリミア危機はもちろん承知しているけれど、自治共和国としてのクリミア共和国とウクライナとロシアの関係の細かいところの知識が不足している自分が情けない。

父子の移動の障害となる国境がどの国(地域)の国境なのか混乱することがあり、また
イスラム教とキリスト教の信仰の違いなどの文化の分布も理解が及ばず、歯がゆい思いをしてしまった。この映画を通じて地域の事情をもっと勉強することが少しでも監督への努力に報いることになるだろうか…。

上映終わり、13時にジャパン・パビリオンに移動。本日、今年の東京国際映画祭の審査委員長を本人同席のもとに発表することになっていた!

定刻通り、チャン・ツィイーさん、ご登場。日本の記者を中心とした方々に集まってもらい、記者会見ののち、海を背景に写真撮影も。

僕は初めてここでお会いし、よろしくお願いしますとご挨拶。なんともチャーミングな方で、緊張するやらほっとするやら大変だ。カンヌのタイミングで審査委員長を発表できるのは僕の記憶では初めてのはずで、これは画期的だ。広報チームの尽力に感謝!

それからTIFF Studio用の動画を撮ったりして15時までパビリオンに滞在してから、ホテルに戻って夜の予定のためにスーツに着替える。

16時15分から上映にもどり、「ある視点」の中国映画『Summer of Changsha』へ。

バラバラ殺人事件を追う刑事と、被害者の姉と思われる女性が軸となるドラマで、犯罪映画というよりは愛するものを失った者たちの感情に寄り添うヒューマンドラマの要素が強い。

新人監督の長編一作目としてはしっかりした作りであったけれども、陰鬱なトーンを引っ張りすぎてしまい、2時間の上映時間が間延びして感じられるのが残念だったかな…。

そして少し耳に入っていたうわさのとおり、カンヌ公式上映の晴れの舞台であるにも関わらず作品関係者は誰も現地入りしていないようで、従って上映前の舞台挨拶もなかった。そういえば、(検閲通過済みを証明する)冒頭のドラゴンロゴもなかった。いろいろと勘ぐりたくなってしまうけれど、邪推は自重しよう…。

会場を移動して「スペシャル・スクリーニング」の『Ice On Fire』へ。環境問題の現状に切り込むドキュメンタリーで、上映前から会場が落ち着かない空気に包まれている。というのも、プロデューサーであるレオナルド・ディカプリオが上映前に登壇することが発表されていたから!

果たして、無事にレオ様が登壇し、場内は爆発寸前。ではあるのだけど、作品のテーマがあまりにも深刻なので、レオ様のコメントを聞いた場内は神妙になる…。前日はタランティーノ作品で一般のファンを熱狂させながら、翌日は環境ドキュで問題意識を訴えるディカプリオ、やはり素晴らしい。

上映終わり、22時から、カンヌ映画祭が主催するオフィシャル・ディナーへ。各国の映画祭関係者を集めたディナーで、カンヌのヘッドとざっくばらんな話が出来て、この上なく有意義な機会。いくつか裏話も仕入れながら夜も更けて…。

ホテルに戻って0時半。今日も盛沢山の一日だった…。ブログが追いつかない!ディナーでワインを頂いてしまったので、少し浮かれ気分になりながらブログを書き、そろそろ1時半。いよいよカンヌも終盤戦!
《矢田部吉彦》

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