「こんなこと、ひとりでやってきたのか」。山中の炭焼き窯で備長炭を製炭し生計を立てている紘は、中学からの旧友で元自衛官の瑛介から、そう驚かれる。深慮もなく父から継いだ紘にとって、ただやり過ごすだけだったこの仕事。けれど仕事を理由に、家のことは妻・初乃に任せっぱなし。それが仲間の突然の帰還と、もう1人の同級生・光彦の「おまえ、明に関心もってないだろ。それがあいつにもバレてんだよ」という鋭い言葉で、仕事だけでなく、反抗期の息子・明に対しても無関心だったことに気づかされる。やがて、瑛介の抱える過去を知った紘は、仕事や家族と真剣に向き合う決意をするが…。
阪本順治