倉敷に住む男子高生・難波蒼はある⽇、幼なじみの女子高生・⽩神紅⼦の⾃閉症スペクトラム障がいの兄が、神社の大木に登って大騒ぎを起こしていたところへ行き合わせる。紅⼦の兄は幻の花火を見て騒いでいたのだ。蒼は「俺が本物の花火を打ち上げてやるから降りてこい!」と⾔って騒動をおさめた。しかし、紅⼦は感謝するどころか涙を流しながら怒る。「自閉症」の兄だから、できもしない約束でごまかした。兄は約束を忘れないから、毎⽇傷つく」。蒼は、真実を突かれてショックを受ける。紅子に密かな思いを寄せていた蒼は、約束を守って花火を上げようとするが、どうしたらいいのかわからない。 実は紅子にとって「花火」は特別な意味があった。蒼が⾃分たちのために奮闘し始めた姿に、頑なになっていた紅子の心が次第に開かれていく。 軽⼝が本気になり、本気が苦い挫折を⽣み出し、挫折の中で再び立ち上がる。そんな蒼たちの奔走が徐々に周囲の⼈びとに伝わるが…。
平松恵美子
平松恵美子