妻夫木聡が絶不調の主人公・彦四郎を通して江戸庶民の粋を体現した『憑神』
神頼み──誰もが一度は「神様、どうか助けて下さい」とお願いごとをしたことがあるはず。この主人公・別所彦四郎もその1人なのだが、彼はとことんついていない男だった。ささやかな出世を祈ったはずが、神社を間違えて貧乏神、疫病神、死神という、全くもって嬉しくない神々たちを呼んでしまったのだ。そんな人生どん底、お先真っ暗な状況とあらば逃げ出したくなるのは当たり前。災難を回避できるなら他人に押しつけたくもなるのが人間の本性というもの。しかし彦四郎の偉いところは、何だかんだ言いつつも自分の呼び寄せた運命を受け入れようとすること。その真摯な姿に厄災力を持つ神たちもつい甘く(?)なり…。