今年で第27回目を迎えた、アジア最大級の映画祭「東京国際映画祭」。オープニング作品にディズニーの最新作『ベイマックス』、クロージング作品に伝説のコミックを実写化した『寄生獣』と、今年は“アニメーション”に注目したラインナップが展開。
さらに日本が誇る映像作家・庵野秀明の作品を「庵野秀明の世界」として大型特集上映する。TVアニメ・劇場公開作品に加え、庵野さんが学生時代に自主制作した貴重な短編・CM・PVなどを含めた約50作品が上映される。
また一方で、“MoMA”の通称で知られる「ニューヨーク近代美術館」の映画部門から厳選された東京国立近代美術館フィルムセンター/シネマテーク・プロジェクトとの共催企画「MoMA ニューヨーク近代美術館映画コレクション」も開催。
今年の秋も、映画初心者~シネフィルまで楽しませてくれる作品群に心踊らされること必至だ。そんな「東京国際映画祭」をシネマカフェでは今年も大特集! 国内外から集まった豪華ゲストたちのファッション・チェック~舞台挨拶の模様までフレッシュな情報をお届け!
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「東京国際映画祭」のプログラミング・ディレクターを今年も務め、シネマカフェのブロガーとしてもおなじみの矢田部吉彦さんに、映画祭に行ったことがない方に向けた「初級篇」~映画大好きシネフィルたちにも響く「上級篇」まで、各1本づつオススメ作品を選んで頂きました!
≫「矢田部吉彦 BLOG」絶賛執筆中です!
<ストーリー>
マリエは、測量研究所に勤める女性研究員である。毎日愛車で研究所に通い、計測や測量を行う。規則正しい毎日が続く中、パリで行われる「1キロ」の重量に関する学会が迫ってくる。研究所が保管している国の基準となる大切な1キロの重りを、パリに運ぶことになる。特別な容器に厳重に保管された重りを持って、マリエはパリに向かう。各国から同業者が集まる学会の場で、マリエに新たな出会いが待ち構えていた…。
<矢田部さんのオススメ・ポイント>
20代・30代の女性にど真ん中でオススメです。ノルウェーのベント・ハーメルという知ってる人は知っている名監督の作品です。物語の核となるのは、フランスの研究所に保管されてる世界の「1キロ」という重さの基準となる1キロの重り。各国が自分の国の1キロを持っていて、ちゃんと自分の国の「1キロ」は正しいのか…? っていう設定自体が面白い。
でもお話自体は、パリにノルウェーの「1キロ」を持っていくヒロインの話なんですけれども、お父さんが倒れたりとか、パリで出会いがあって内気な心が少し溶けて恋を知り…という成長物語なんです。
なので、「1キロ」という物理的な重みをきっかけに、心が抱えるいろんな重みを知っていく女性のお話なんです。心の重みっていうと映画が重く感じられてしまうかもしれないんですが、非常に丹精で暖かいタッチのハートウォーミングな作品と言っていいと思います。
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<ストーリー>
人生の飛躍となるであろう、数年間に及ぶ予定の海外留学行きの当日。若いカップルが希望に胸を躍らせて旅立ちの支度をしながら、別れを惜しむ訪問客たちの相手をしている最中、事件は起きる。希望の日に突如発生した異常事態に彼らはどう対応するか?
<矢田部さんのオススメ・ポイント>
イランのカップルがオーストラリアのメルボルンに留学で数年間移住するという、彼らにとっては希望満ちた旅立ちの日なんですけど、引越の準備をしていると、家でとんでもない事件が起きてしまうんです。
それに別れを惜しむ訪問客なんかもひっきりなしにやって来て、彼らと平然としながらカップルの2人は裏で起きた大事件を、いかにして対処するだろうか? 本当に留学にいけるのだろうか? っていうドラマなんですね。
ホントに設定はシンプルなんです。こんなに設定がシンプルなのに、映画って工夫次第でここまで面白くなれるのか! という、お手本のような映画です。僕はこれを日本中の若い映画制作者に観て欲しいですね。「お金がない」なんて言っちゃいけない。これだけのシンプルな設定でここまで面白くなれるって、「あ~映画ってすごいな」って思いました。
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<ストーリー>
構えただけで惨事を起こすカメラについての映画はどうだろう? 映画監督が、新しい企画を考える一方で自分の老いと向き合い、キャリアも見つめ直していく姿を描く。
<矢田部さんのオススメ・ポイント>
これはかなり高難度ですよ…(笑)。
やっぱり映画好きって“映画作り映画”が大好きなんですよ。なので、すごくそのツボにもハマりますし、「映画とは何か?」というものを問いかけている。
あと映画作家が自分のキャリアを振り返ったり、そこに政治とか、いろいろな社会的な観点も盛り込まれていて、かつドキュメンタリーとドラマをミックスしている、いろんな意味で複雑な構造になっていて見ごたえがありますね。
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