『メトロで恋して』アルノー・ヴィアール監督、ジュリアン・ボワッスリエインタビュー

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『メトロで恋して』アルノー・ヴィアール監督、ジュリアン・ボワッスリエ
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メトロ(地下鉄)と言えばパリの代名詞。見知らぬ者同士が行き交い、わずかなひとときを共に過ごすこの空間で1組の男女が出会う…。奇しくも日本でも電車を舞台にした純愛映画が大ヒットしたが、フランス版『電車男』ともいえる『メトロで恋して』のアルノー・ヴィアール監督と主演俳優のジュリアン・ボワッスリエに、映画にまつわる話からプライベートな恋愛観までを語ってもらった。

ジュリアン演じるアントワーヌとクララが恋におちるのはもちろんメトロの中だが、クララの仕事はTGV(フランスが誇る超高速列車)のウェイトレスという、電車好きにはたまらない本作。それについてのアルノー監督の意図はこうだ。「パリの生活の中でメトロは欠かせないし、可愛い女の子や美男美女がたくさんいるので出会いが生まれやすいんだ。バスもあるけどメトロのほうがその確率は高いと思うよ」。

出会って間もない2人がセーヌの川岸で踊るシーンは、恋心の盛り上がりを象徴するようなミュージカル風の演出になっている。だがその現場について尋ねると、意外にもこんな答えが飛び出した。「今でこそあのシーンは甘く切ないシーンだと皆が褒めてくれるけど、岸辺で2人は大喧嘩をした上にジュリアンは歌やダンスに慣れていなかったので緊張もしていた。だから現場は全然よくなかった(笑)。でも結果的にはよいシーンになってよかった。大事なのは結果だからね」とアルノー監督。

映画の中で2人の関係を阻むのはエイズという病気だが、ちょっとしたことで恋愛が上手くいかなくなった経験は誰しも身に覚えがあるだろう。「監督としての助言は、好きな人がいたらきちんと相手の話を聞き、彼や彼女が何を思っているのかをよく見極めてあげることだね」。そしてジュリアンも「僕も監督の意見に賛成です。自分でもパートナーの言うことによく耳を傾け、相手をよく見て、尊重する気持ちを大切にするよう心がけています。そして常に“どうしてこの人が好きなのか”を自分に問いかけています。相手を疑うのではなく、嘘をつくことは絶対にいけないと思うからです。とても理屈っぽい作業ですが、恋愛は簡単なことではなく、修行のように毎日積み重ねていかなければならないものです」。

このような映画に関わるとやはりプライベートの恋愛観にも影響があったのだろうか? 「この映画を撮っていて自分はとても成長したと思います。エイズは具体的な病気だけれど愛を阻むシンボル的なものです。それを乗り越えて愛を続けていく意味を再確認した気がします。自分を投影させてシナリオを書きましたから」と語る監督。「どんな出会いであれ、自分の中に何らかの変化をもたらし、自分が変わっていく感覚はすごくあります。今回アルノーが強調したのは“自分自身を出して演技をしてほしい”ということでしたが、その影響は強かったと思います。後になって色々なことを判断するときに、あの映画でやったことが随分僕を変えたなと実感しました」。

日本映画では北野武が好きだというジュリアン。「日本の役者には凝縮された強さがあって好きです。表情ひとつでもすごく訴えかけられるような気がするので、内面的な強さの表現については日本の役者に学ぶべきところがあります」。それとは対照的に、映画の中のジュリアンはフランス人特有の日常的なさり気なさを絶妙に出している。その背景に流れるバンジャマン・ビオレーのスマートでムーディーなサウンドは「これぞフレンチ・ポップス!」と言いたくなる。

ラストは敢えて曖昧にしてあるが、それは「観客ひとりひとりが自由に解釈できるように」というアルノー監督の配慮でもある。フランス人らしくどことなく洒脱なムードとエスプリを漂わせた2人。同じテーマでもお国柄によっては全く違う映画になってしまうだろう。フレンチなオシャレオーラに浸りながら、恋の秋に備えて日仏の恋愛観の共通点と違いを勉強してみては?
《text:cinemacafe.net》
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