2005年、夏のおすすめはこの映画! vol.3  『マラソン』

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この際、正直に言ってしまいましょう。私は『フォレスト・ガンプ 一期一会』が苦手です。ついでに言うと『I am Sam アイ・アム・サム』も。自閉症、知的障害などを扱った作品は、それだけで「心温まる物語」と認識されてしまうもの。だから、私のように、「苦手」なんて告白すると、まるで非人のように思われてしちまいがち。ほとんどの場合、そのテーマの扱い方に違和感を覚えることが多いのです。

自閉症や、知的障害の人々の気持ちを、誰かが物語のように代弁するというのは極めて難しいこと。本人たちでなければ、知りえないこと、理解し得ない心情を巧みに描写し、それを感動の物語に無理やり仕上げてしまうことで、どこかにわざとらしさや偽善的な香りが残ってしまうのです。

でも、例外ももちろんあります。『レインマン』『ギルバート・グレイプ』『オアシス』は、ほんとうに素晴らしい! 大きな違いは、自閉症や知的障害を持った人に一人称で物語を語らせるか、そうでないかの違い。

現在公開中の韓国映画『マラソン』も、母親の視点で描かれているのがいい。TVCMや予告編を観ると、『フォレスト・ガンプ』に似た印象を持ってしまいますが、観終わった後に残るのは、息子をひたすら応援する母親の姿。20歳だけれど、精神年齢は5歳という青年は、自閉症の障害を抱え、いつも問題を起こしています。そんな彼に寄り添って、多くを犠牲にしてきた母。まるで、青年と母親との二人三脚のような人生を、“マラソン”という誰にとっても極めて過酷なスポーツをモチーフに描くのです。この物語、なんと実話。ペース配分が最も難しいといわれるマラソンで、自閉症を抱えながらも、2時間57分という記録で完走したぺ・ヒョンジン氏の物語。主人公が、シマウマとともに草原を走りぬけるシーンは、思わず「反則!」と叫んでしまいたいほど、感動的。疲れて、なんだか頑張りが効かないなと思う方々に、おすすめ。きっと、また明日もがんばろう!という気にさせてくれると思いますよ。

《text:June Makiguchi》
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