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『好きだ、』石川寛監督 インタビュー

17歳のユウとヨースケ。お互い惹かれあいながらもすれちがい、そして17年後、お互い34歳になって偶然東京で再会する。誰もが胸にしまっている、あの時言えなかったことば。『好きだ、』は17年越しのゆれる想いを静かに、美しい映像でとらえている。本作の監督をつとめるのは『tokyo.sora』で注目を集めた石川寛だ。

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17歳のユウとヨースケ。お互い惹かれあいながらもすれちがい、そして17年後、お互い34歳になって偶然東京で再会する。誰もが胸にしまっている、あの時言えなかったことば。『好きだ、』は17年越しのゆれる想いを静かに、美しい映像でとらえている。本作の監督をつとめるのは『tokyo.sora』で注目を集めた石川寛だ。

『tokyo.sora』で6人の女性を主人公にした石川監督は、『好きだ、』では男女2人の、恋愛感情一歩手前の“ゆらぎ”を描いている。きっかけは、自分自身の経験にあったという。「僕自身、10代の頃と、30代の頃に“好き”と言えなかったことがあったのが特に記憶に残っていたんです。30代にもなっておきながら、何をしているんだろう、そういえば10代にも同じことがあったなぁと(笑)。でも同時に30代の頃、バーのトイレの鏡に映った自分を見たとき、10代の頃に思っていた10何年後の自分に全く重ならなかった。いつの間に変わっちゃったんだろうって」。

石川監督作品の魅力は、感情を丁寧描いているストーリーだけではなく、雰囲気を大事にした繊細な映像にあると思う。映画2作のほか、石川監督が手がけてきたコマーシャルも、空気感のある、流れるような自然体の映像が印象的だ。「映像のイメージは企画の段階からありました。思い浮かべたことはノートに書いていますが、冒頭は女の子の横顔で始まり、鼻歌を歌っているというシーンが浮かんできました。いつもキーになるシーンが浮かぶんです。そして前半(17歳)が女の子の横顔で始まるのであれば、後半(34歳)は男の人の横顔で始まる。前半後半を行ったりきたりしながら、自然と浮かびます」。

2人のユウとヨースケを演じる宮崎あおい、瑛太、西島秀俊、永作博美というキャストも話題だ。名前を聞いただけで期待感が膨らむ4人だが、宮崎さんだけは企画の段階で決まっていたそうだ。以前コマーシャルの仕事で出会ったという宮崎さんだが、「17歳のユウにはあおいちゃんしか考えられなかった」と語る。では彼女の魅力は?と訊ねると、「彼女はすごくはっきりとした自分を持っているようで、それが揺れているような気がしている。会う度に思いますが、その魅力が不思議なんです。揺れている部分があるのに、芯が通っている。男と違う部分ですね(笑)」。

「あおいちゃんありき」でスタートしたキャスティングだったが、実はその後は予定通りに進まなかった、ことも明かしてくれた。「本当は次に後半の男性を決めたかったんですが、どんどん大人になってしまうあおいちゃんだけは実年齢にこだわって、彼女が17歳のうちに撮影したかったんです。しかしそのせいで、撮影スケジュールが前倒しになってしまったため、先に17歳のユウが好きになりそうな男の子を探しました。瑛太くんは、会った瞬間に、この子だと思いました。僕が女の子だったら好きになりそうな人です(笑)」。

「前半の撮影の最後の方で、西島さんには一瞬出演するシーンのために一日だけ秋田に来てもらいました。その夜、瑛太くんも一緒にごはんを食べにいったんですが、並んでいる姿をみて、うわー、似てるなという不思議な感じがしました。しかも瑛太くんから最初脚本を読んだ時に、30代の自分に西島さんを思い浮かべた、と聞きました。それで次の日には決めました」。

「永作さんに関しては、正直別の人との間で悩んでいましたが、西島さんが決まると自然に決まりました。17歳のユウちゃんには悲しい出来事があって、ああいうことがあったからこそ、明るさを身に付けようとすると思いました。決して暗い人になるのではなく、逆に自分の抱えているものを気づかれないために明るさをまとうのではないかと。作られた明るさとはちょっと違いますが、ここが永作さん本人が持っている明るさと重なりました。もともと明るい人なのかもしれませんが、彼女は大人になって、経験の中で出来上がっている明るさを持っています」。

石川監督の場合、撮影方法も独特で、脚本があるにも関わらず、役者には印象だけを残してもらい、セリフは覚えないよう指導する。「僕はその感情をなるべく体験してほしいんです。数秒のシーンでも2時間回していましたが、その2時間が2人にとっては意味があると思います。役柄としてそこにいて、お互いを感じて、積み重ねていくからこそ、カメラが回っている時も自然なんです」。

派手な演出は決してなく、セリフも少ないが、でもだからこそセリフとセリフの間の想いを感じ取ってほしい。激しく感情が揺さぶられることがなくても、こういう作品こそが、観る人の心に刻まれ、静かに響いていく。そう思わせてくれる貴重な1作だ。
《シネマカフェ編集部》
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