台風が通り過ぎ、猛暑が戻った8月10日。黒沢清監督の3年ぶりとなる長編映画『LOFT ロフト』の完成披露試写会が新橋のヤクルトホールにて行われた。上映前に行われた舞台挨拶には、黒沢清監督をはじめ、主演の中谷美紀、豊川悦司、西島秀俊が登場し、会場内は盛大な拍手と声援で包まれた。中谷美紀「『ニンゲン合格』『CURE』と素晴らしい、そして大好きな作品を作られた監督とご一緒できて本当に嬉しく思います。サスペンス・ホラー・ラブストーリーの要素がある、とても豊かな映画です。“永遠の愛”“永遠の美”というものが、いかに遥か彼方にあって、人間にとって手の届かないものかと、この世の儚さを思い知らされました。と同時に、儚いこの世を愛してしまいたいと思えた映画でもあります。みなさん、楽しんでください。」黒沢監督「5〜6年前、韓国のプロデューサーと、一緒に何かやりたいねと話していて、やっと実現し、初めて、国際的な形での映画ができたと感動しています。キャストやスタッフが素晴らしければ、ここまで素晴らしい作品ができると思い知らされた作品でもあります。単なるホラー映画ではなく、豊かな、そして、開かれた映画だと思っていますので、楽しんでください。」豊川悦司「黒沢監督とは、以前から一度仕事をしたいと思っていて、それがこの『LOFT』で実現して嬉しく思います。とても刺激のある監督でした。先ほど中谷さんとも話していたのですが、黒沢教の一員になった気分です（笑）個性的で、豊かで、大好きな映画です。」西島秀俊「『ニンゲン合格』以来、久々に黒沢監督とご一緒させていただきました。試写を2度観たのですが、画面から緊張感が、漂い溢れている映画です。恐怖も、1種類ではなく、たくさんの恐怖が描かれています。たくさんの恐怖と究極の愛を楽しんでください。」豊川さん、中谷さん、西島さん、共に黒沢監督への尊敬の想いが強く、特に中谷さんは「いつの間にか魔法をかけられたように、スタッフ・キャストとも黒沢教の信者となってついていってしまいます。台本を読んだときはわからない部分がたくさんあったのですが、『人は理由がなくても行動するんです』との監督の言葉が、心の霧を晴らしてくれました。それは、今後の女優人生へ影響を与えたくらい大きな言葉でした。」と、黒沢監督について語ってくれた。1000年という時が主人公たちを包み込み、翻弄し、その世界の混乱の中で生まれる「愛」——。ミステリーからサスペンスへ、そしてラブストーリーへと変貌を遂げる新たな黒沢映画『LOFT ロフト』。9月9日（土）、テアトル新宿、シネ・リーブル池袋にて公開。
