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『サムサッカー』マイク・ミルズ監督来日インタビュー

マイク・ミルズ。その名前を聞いて、ピン! とくるシネマカフェ読者も多いのではないだろうか。ロマン・コッポラ、ソフィア・コッポラらを抱えるアート・コレクティブエージェンシー、ザ・ディレクターズ・ビューロの創設メンバーであり、X-girlのブランドロゴや数々のミュージッククリップを手がけているほか、映画ファンにとっては『ヴァージン・スーサイズ』(99)のビジュアルワークが特に記憶に残っているところだろう。

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マイク・ミルズ。その名前を聞いて、ピン! とくるシネマカフェ読者も多いのではないだろうか。ロマン・コッポラ、ソフィア・コッポラらを抱えるアート・コレクティブエージェンシー、ザ・ディレクターズ・ビューロの創設メンバーであり、X-girlのブランドロゴや数々のミュージッククリップを手がけているほか、映画ファンにとっては『ヴァージン・スーサイズ』(99)のビジュアルワークが特に記憶に残っているところだろう。

そんなマイクが初めての長編作品に選んだのは、アメリカで話題を呼んだウォルター・キルンの小説「サムサッカー」。17歳になっても“サムサッキング=親指しゃぶり”がやめられない少年が、うだつのあがらない学校生活、恋人とも友達とも言えない同級生、どうも噛み合わない家族との毎日を通じて、“何が大切なのか”ということに気付き始める青春ストーリーだ。原作に惚れ込んだマイク自身が脚本を執筆し、誰もが経験したことのある懐かしい感情と、微笑ましい感動を味あわせてくれる映画へと昇華させた。

今年6月、新作を日本で撮影中のマイクを訪ね、『サムサッカー』について話を聞いた。

Q. 最初に原作を読んだ時の感想は?
新鮮なくらいに正直な話だとまず感じたんだ。そして主人公の成長していく姿を想像して、これを映画化することはきっと、自分の人生を探求するものになるだろうと確信した。独創的な作品だから、資金集めにすごく苦労してね…。99年にこの本に出会ってから、撮影開始までに結局3年もかかってしまった。その間に脚本のリライトを重ねて、自分の経験を加えたり、観客が映画に入り込みやすいようにキャラクターをより感情的にしたり。最終的には「原作:僕の創作」がちょうど「5:5」くらいになったと思う。でも原作がもつ基本的なメッセージ、スピリットを一番大切にして仕上げたつもりだ。

Q. 主人公のルー・プッチをはじめ、素晴らしいキャスティングですよね。
彼との出会いは奇跡的だっと思う。脚本を書く上で、キャラクターがほぼ頭の中で完成していたから、初めてルー・プッチに出会ったとき、「この人だ!」とすぐに感じたんだ。常にオープンな心を持っていれば、そういう出会いに巡り合えるものなのかもしれないね。

それから撮影に入る前にリハーサルとして、家で家族として暮らすことをやってもらった。脚本を持たずすべて即興で。喧嘩をしたり、それでも一緒に食事をしたり、本当の家族のようにね。それが映画にも効いているのかもしれない。

Q. 日本にはたくさんのファンがいるし、最新作の舞台は日本だとか。日本文化から影響を受けたことや共鳴するものは?
まず、日本のたくさんの人が、僕の作品を気に入ってくれることに感謝しているよ。アメリカでは日本ほどこの映画の主人公は受けないんだ。繊細で傷つきやすくて。もし暴力的でセックス好きな主人公だったら違っただろうね(笑)

日本の文化には共鳴するところが多い。僕が好きなのは、数が少なくて、シンプルなもの・こと。特に小津安二郎監督の作品を観たときに「あ!これだ!!」と感じたんだ。『東京物語』『浮草物語』『お早よう』。どれも普通の人の普通の生活をごくシンプルに描いていて、観終わったときに深い安心感を与えてくれた。

『サムサッカー』に関しても、実は小津監督を意識して撮影したんだ。何でもないようなものを、撮り方や捉え方によって何かがあるようなものに見せる。たくさん盛り込むのではなく、シンプルさの中に生まれるものが好きなんだ。

Q. それってこの映画だけでなく、他のアートワークにも共通するものですよね。
そう、振り返ってみると、すべて同じメッセージをもっていて、かたちこそ違うけれど、すべてが連続したひとつの作品なんだと感じているよ。子供の頃に蓄積したものは、意識せずに出来上がった大きな山のようなもので、そこに大人になって学んだことが加わって作品ができあがっているから。

Q. 『サムサッカー』にはいかにもアメリカン的にニカっと笑うキャラクターが登場しません。ご自身の性格が影響しているのでは?
確かに僕は無理に笑うことは嫌い。笑いときに笑えばいいと思っている。いつも笑っている人なんて存在しない。誰にも泣きたいくらいに悲しいことがあるし、悩むのは普通のことだからね。


最後に、ガールフレンドであるミランダ・ジュライ(『君とボクの虹色の世界』監督・主演)のこの映画への反応はどうたったか聞いてみたところ、「彼女が一番厳しいかも。でも率直な意見をくれたよ」と苦笑していたマイク。オープン・マインドな人柄、話すひとつひとつの言葉たち、そして創り上げる作品。すべてにおいて決してブレないものがそこにはあった。

映画『サムサッカー』はいよいよ今週末、9月23日よりシネマライズほかにて全国にて順次公開。


公式サイトでは、マイクが書き下ろしたオリジナル壁紙も!
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《シネマカフェ編集部》
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