世界の映画館 vol.06 キューバ

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当たり前だが社会主義の国にも映画館はある。勉強不足のため、社会主義の国をあげろと言われたらキューバと北朝鮮くらいしか思い浮かばない。その一つキューバに行く。キューバと言えば『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『苺とチョコレート』、チェ・ゲバラのドキュメンタリーなど、僕の中では芸術と革命というイメージが強い。

キューバの首都ハバナの街を歩いていると映画館は普通に点在している。ヘミングウェイが愛したダイキリの店「フロリディータ」近くの映画館では、チケット売り場の窓ガラスは割れ、廃墟のようにも見えるが、キューバ映画を上映しているし、繁華街を歩いているとコンビニのような建物があり、そこは子供専門の映画館だったりする。

旧国会議事堂の向かい側の映画館で『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』の文字を見つけた。間違いなくハリウッド映画である。キューバはアメリカと喧嘩している国で、どのようなルートで入って来るのかも気になるところではあるが、それよりもキューバの人々がハリウッド映画に対してどんな反応をするのかに興味がある。以前、ロシアで『オースティン・パワーズ』を観た。下ネタが飛び出す度に、ロシア人が笑い転げるのを見て、何故かジーンとした。そのときの僕のメモ帳を読み返したら「冷戦終了!」と書かれていた。

その感動をもう一度、と僕はキューバでハリウッド映画を観ることにする。12キューバペソ(約70円)で観ることができるようだ。本来、僕は外国人専用の兌換ペソを使い、現地の人よりも数倍の値段を支払わなくてはならないのだが、諸々の事情により僕もキューバペソで観た。よって兌換紙幣で観るといくらなのか正確な金額はわからない。少なくともチケット売り場には表示されていない。一眼レフは入り口で鞄の中にしまうように言われる。場内撮影禁止ということらしい。

仕方なく撮影は諦め、中に入る。昭和の映画館といった感じである。東京でいえば、今はなき渋谷パンテオンの映画館の半分くらいで、4〜500名程度収容できる映画館に着席は50名程度。

スペイン語吹き替えの『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が始まる。キューバ人笑う。映画に国境はないのであると感動しながら、40分程観ただろうか。ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウが占い師を訪れるシーンでスクリーンの画像がフリーズしてしまう。しばらくの間は黙って様子をうかがっていた客席からブーイングが上がり始める。しかし、スクリーンは動かず、占い師のアップのままである。

しばらくすると舞台上から一人の男性が出てきた。どうやら状況説明をしているらしい。僕はスペイン語がわからない。みんなが怒りながら席を立って出て行くのを見ながら上映中止であることを理解した。払い戻しもなく、みんなブーブー言いながら映画館から出て行った。日本ではあり得ない。生まれて初めての上映中止をキューバで味わう。翌日、昨日のチケットを持っていれば、再入場できたのかどうかはわからないが。

《text:Ishiko》
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