映画でクラシックピアノを楽しむvol.2 良質の韓国映画でラフマニノフに浸る

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『私のちいさなピアニスト』 -(C)2006 Sovik Venture Capital & DCG Plus All Rights Reserved
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クラシック音楽を題材とした映画が続々と公開される2007年の日本。感動の物語を得意とする韓国からも、素敵な作品が届きました。『私のちいさなピアニスト』は、プロのピアニストになるチャンスを掴めずに、仕方なくピアノ教室を開いた女性・ジスと、貧しい少年・キョンミンとの出会いから始まる物語です。

ジスは20世紀を代表するヴィルトゥオーゾ(名手)、ウラディミール・ホロヴィッツを敬愛するピアニスト。演奏者としての道を諦め、生活のために街の片隅でピアノ教室を始めます。ところが、近所に暮らす孤児の少年・キョンミンからいたずら攻撃を受ける日々。困り果てていたところ、実はキョンミンが絶対音感の持ち主であることが判明。熱心な親に連れられて来るものの、やる気もなければ才能もなし…という生徒たちをそっちのけで、彼に興味を持ち始めるジス。その心は、指導者として音楽界に返り咲くこと。成功している仲間たちを見返そうと、計画を練るのですが…。

予定調和的な話であることは否定できないものの、人と人の心を繋げる音楽の力と、人との出会いによって成長していく人間の姿は、お決まりの感動パターンの枠を超えて、観る者の心を動かす力があります。特に、美しい音楽に彩られるとその力は増大。シューマンの「トロイメライ」、ショパンの「子犬のワルツ」、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第16番ハ長調」…。そして、圧倒的なのは、私の大好きな、そしてホロヴィッツが得意としていたラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」が流れるラスト。

どういうシチュエーションでこの曲が弾かれるかは、ネタばれとなるので語りませんが、この選曲はズルい、ズルすぎます! このロマンティックで切ない旋律に、心を震わせない人なんていないのですから。

ただ、贅沢を言えば、このうっとりするような美しい曲を全楽章通しで聴いていたかった…。とはいえこの曲は、全楽章流せば30分を超える曲。映画ではそれが無理なのはわかっていても、「うーん、やっぱり全部聴きたい」と、ラフマニノフによる自作自演の「ピアノ協奏曲第2番」を飽きるまで聴いたのでした。その流れでホロヴィッツによるラフマニノフ「ピアノ・ソナタ第2番」と「ピアノ協奏曲第3番」も鑑賞。大満足…。 

映画で出会った音楽が、人生にとって特別な音楽となるということはあるものです。もしかすると、この曲を今まで聴いたことがなかった人も、クラシック音楽アレルギーの人も、本作をきっかけにラフマニノフが“人生の友”になるかもしれません。美しいラストに浸り、通して聴いてみたいという気持ちになったなら、ぜひともCDショップに走ってみて! ピアノの名手でもあったラフマニノフの自作自演CD、お薦めです。

《text:June Makiguchi》
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