「私は旅先案内人」オスロ監督が美しい色彩でおとぎ話に誘う新作アニメを語る

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『アズールとアスマール』ミシェル・オスロー監督
  • 『アズールとアスマール』ミシェル・オスロー監督
  • 『アズールとアスマール』 -(C) 2006 Nord-Ouest Production - Mac Guff Ligne - Studio O - France 3 Cinema -Rhone-Alpes Cinema - Artemis Production - Zahorimedia - Intuitions Films - Lucky Red
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『キリクと魔女』や『プリンス&プリンセス』など、独自の世界観を繰り広げてきたミッシェル・オスロ監督。フランス・アニメーション界の第一人者として活躍している彼の最新作は異文化の融合をテーマにした『アズールとアスマール』。青い瞳と白い肌を持つアズールと黒い瞳に黒い肌のアスマールが幼い頃に聴いた乳母の子守唄を頼りに、“ジンの妖精”を探す旅に出る物語だ。作品についてオスロ監督に話を聞いた。

「私の仕事は観客を案内すること——旅先案内人とでも言いましょうか」と言うオスロ監督は『アズールとアスマール』について「伝えたいことはいろいろありますが、90分間を楽しんでもらうことが一番大事」だと言う。
「映画のイメージの源になったのは、自分の身の回りにおける問題です。富裕層と貧困層、西洋の人と東洋、中近東の人たち。現代における社会のそういう構図です」。

本作の舞台は中世のイスラム世界。北アフリカのマグレブ地方(現在のモロッコ、チュニジア、アルジェリア)がモデルになっている。
「一見対極に立っている2人が、実は、話し合えば言葉の壁すらも魅力の一つになって分かり合えるということを説明するために、北アフリカという場所を選びました。フランスに住んでいる移民の大半は北アフリカ出身なんです」。

「北アフリカを舞台にすることによって、あまり知られていないイスラム文化、華やいでいた時代をスムーズに見せることができた」という監督。今作は背景を2D、人物を3Dで描くという手法を取っている。
「主な理由はお金がかからないから(笑)。それから作業のスピードに関しても、焦る必要がないんです。3Dで背景を描くのは非常に複雑で時間もお金もかかってしまいますから。2Dだったら自分が画家になるだけでいいのです。場合によっては遠近法をちょっとズルをしてごまかすこともできるんですよ。それからコラージュも取り入れています。写真でリアルなものを撮ってコラージュで埋めていくという作業です。それは2Dだからこそできることなんですよ。2Dの方が自由ですから、表現も豊かになったと思います。例えば、やしの木がたくさん並んでるシーンがありますが、見るからに絵に深みがなく全てがフラットに見えます。それは私が好きでそうしたんです。なるべくおとぎ話の世界になるようにね」。

『アズールとアスマール』は、前作の『キリクと魔女』に比べてかなり鮮やかな色使いだ。
「もちろん今回の色使いは意図的です。『キリクと魔女』はアフリカの話ですし、話の内容的にも、あまり色が使えない状況だったんです。今回のテーマであるイスラム文明は、非常に発達しているので、ふんだんに色を使って自由に作りました。日々、仕事場で色と戯れるというか遊んでいました。北アフリカの人たちの服装というのは非常に華やかで、実際にいろんな色を使ったものがあります。現代の先進国の人たちの服装を見るともっと抑えたトーンなんですけどね。それに、中世のあの時代の北アフリカでは映画に出てくるような、色鮮やかな服を着ていたとも思えません。でも、おとぎ話ですしきれいな方が良いでしょう? 基本的には史実に基づいて、登場する花やモザイク画を再現していますが、歴史的に正しいのかどうかで迷ったときは『美しいからそれでいいよ』と判断をしていました」。

『アズールとアスマール』の制作には10年近い歳月がかかっているが、「焦らずに自分のペースで仕事ができました」という監督。今後も精力的に作品を発表してくれるだろう。
《text:cinemacafe.net》

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