秋に楽しむ美味しい人生vol.2 どこに幸あり? 『ここに幸あり』

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『ここに幸あり』
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毎日なんだかツマラナイ。気がつくと、いつもそうボヤいているなんてことありませんか? 幸せはやってくるもの。面白いことは飛び込んでくるもの。そんな風に思っていませんか。だとしたら、人生を楽しくするチャンスをみすみす見逃している可能性、大です。

そんなことに気づかせてくれる作品づくりで、私がベタ惚れしているのが、グルジア出身のオタール・イオセリアーニ監督。彼の作品に登場するのは、どこかとぼけた人々ばかり。新作『ここに幸あり』では、フランスのとある大臣が、更迭されたことをきっかけに、ゆったりとした普通の、もしくは普通よりのんびりした生活を送るようになり、人間らしい一面を取り戻していくのです。

基本は、大臣時代にはできなかった、気の合う仲間との飲んで食べて、飲んで食べての繰り返し。何にも縛られない人生、つまらないこだわりを失ったさっぱり感を堪能するのです。いつも飲んでいるワインの味も、リラックスして楽しむことで、いつもと違うと感じながら…。休日、昼間からお酒を飲むと、妙に酔うのが早かったり、妙に楽しかったりするのと同じでしょうか。

でも、銘柄、年代、保存状態が同じならそのワインは何時飲んでも同じ味のはず。なのに、より美味しく感じられるということもある。その場合、原因が自分の心や気持ちにあるのは明らかです。それは人生の捉え方と同じこと。つまり、主人公は人生というワインの味を、自分の心持ちひとつでより上質なものに変えたといえるでしょう。

そういえば、前作『月曜日に乾杯』でも、イオセリアーニ監督は“人生は幸せへのきっかけであふれている”ということを、主人公が飲んだり食べたり、おしゃべりしたり、仕事をしたりする様子から巧みに浮かび上がらせていましたっけ。幸せはそこにあるのに気がついていない何とももったいない人や、気の持ちようで人生はもっと豊かになるという人が世の中に多いということを、御年73歳の監督は人生経験から良くご存知なのでしょう。

恵まれた環境に暮らしているのに、その境遇に感謝できない、なんだかつまらないという方は、幸せに歯止めをかけているのは自分自身かもしれないという可能性を考えてみるのもいいかもしれません。奇蹟や幸せ、喜びなどは日常の中にこそ潜んでいるもの。気がつくか、そうでないかは自分次第。楽しく、幸せな人生はもう手に入っているのに、気がつかないとしたらこんなに悲しいことはありません。『ここに幸あり』を観て、「ここに幸あり!」と叫べるような自分を見つけるきっかけを探してみてはいかがですか?

《text:June Makiguchi》

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