女性の持つ“母性”を描いたミステリー『題名のない子守唄』トルナトーレ監督

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『題名のない子守唄』ジュゼッペ・トルナトーレ監督
  • 『題名のない子守唄』ジュゼッペ・トルナトーレ監督
  • 『題名のない子守唄』 -(C) 2006 MEDUSA FILM - MANIGOLDA
  • 『題名のない子守唄』ジュゼッペ・トルナトーレ監督
『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督。イタリア映画界の巨匠と呼ばれ、『みんな元気』、『海の上のピアニスト』、『マレーナ』など質の高い作品を世に送り出してきた彼が6年ぶりに手がけたのが『題名のない子守唄』だ。

1986年の『“教授”と呼ばれた男』以来、定期的に作品を発表してきたが、今回は前作から6年もの時間が空いている。監督はその理由をこう話す。
「あれから5年間は、ある映画のためのリサーチや脚本を書いていました。でも資金調達がなかなか上手くいかずに一時中断することになったんです。それで次のプロジェクトに、ということで製作したのが、今回の作品です」。

本作は監督が初めて完全に女性を主役においたミステリー作品。どういうきっかけで、このストーリーが生まれたのだろうか?
「20年ほど前にイタリアの新聞の三面記事で見つけた事件がきっかけなんです。ある若い夫婦が逮捕されたという報道があって、その夫婦は注文に応じて子供を作って子供が生まれる前にその(生まれてくる)子供を第三者に売ったというものでした。こうした、子供を転売するというマーケットについて調べていくうちに、ある疑問が私の頭をめぐったんです。『もしそんな女性が自分の子供を取り返そうとしたら何をするか?』とね。この疑問に対して私が出した答えがこのストーリーなんです」。

単に事件を追うだけではなく、監督は女性の持つ“母性”を中心にストーリーを広げていった。
「興味の中心になっているのはここに描かれている女性像です。ネガティブなのかポジティブなのか、美しいのか醜いのか、よく分からない。自分の中にミステリーを抱えた女性像というのがまずあって、それを発展させました。映画では、背景として売春や犯罪組織、移民問題などが描かれていますが、それはあくまでも背景であって、私が描きたかったのはこの女性なんですよ」。

その女性・イレーナを演じたのはクセニア・ラパポルト。ロシア出身でフランス、ノルウェーなどでも活躍している国際派女優だ。
「彼女の美しさのタイプは、一見してパッと目を引く美しさというよりは、隠された美しさとでも言いましょうか。それが今回のイレーナ像にぴったりでした。それと、今回は子供を持っている女優さんに演じてもらいたかったのですが、彼女には娘がいるということで、ローマでテストを重ねて決めました。クセニアとのコラボレーションは監督として望みうる最高のものでしたよ。撮影のエピソードを一つご紹介しましょう。出産の場面がありましたが、そこで彼女はイレーナになりきってしまって、私がストップをかけても気づかない状態でそのまま演技を続けていたんです。それがあまりにも素晴らしかったのでそのままカメラを回し続けました。この映画の撮影は16週間かかりましたが、クセニアは毎日現場に来ていました。『苦労しなかった』と言っていましたが、彼女は嘘つきだから(笑)、かなり苦労したと思いますよ」。

「女性と男性で比べると、女性のほうが興味深い存在」と語る監督。次回作も女性を描いたものなのだろうか?
「新作について話すと、それが日の目を見ないというジンクスがあるんです。5年かけて準備してきた『LENINGRAD』(原題)という作品も、いろんなメディアに取り上げられたから中断してしまっているんだと思います。この作品以外にも新作に取りかかっているとしか言えないですね」。

次に監督が描くのはどんな女性像なのだろうか? またもや期待を裏切らない名作に出会えるだろう。
《text:cinemacafe.net》
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