「観客の人生に何か変化があれば嬉しい」チャン・チェン『呉清源 極みの棋譜』を語る

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『呉清源 極みの棋譜』 チャン・チェン photo:Yoshio Kumagai
  • 『呉清源 極みの棋譜』 チャン・チェン photo:Yoshio Kumagai
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中国から来た14歳の少年が、やがて日本囲碁界の頂点に君臨した呉清源。現在も神奈川県で囲碁の研究を続けている彼の半生を描いた『呉清源 極みの棋譜』。本作で呉清源を演じたチャン・チェンに話を聞いた。

呉清源という実在の人物、しかもまだ元気に囲碁の研究を続けている人物を演じるにはかなりの苦労があったのではないかと思うが、チャン・チェンは「この役は自分にとってチャレンジだった」と語る。
「一番難しかったのはやはり台本の内容を自分自身で把握して演じなければならなかったことです。当時の状況を理解するのは難しかったですね。それから日本語のセリフ! そして実在の人物、出来事を演じるのは初めてです。これだけでも僕にとっては大きなチャレンジでした(笑)。でも呉清源さんの自伝を読んで彼の囲碁に対する探求心、そして彼自身の純粋な心にとても感銘を受けたんです。だからぜひともこの作品に参加したいと思いました」。

撮影前に呉清源さん本人に何度か会ったそうだが、それが役作りの上で大いに役に立った。
「2,3回、呉清源さんに会う機会がありました。お会いしたときは、いろいろ話もしたんですけど、ほとんど呉清源さんが話して僕は聞き手でした。僕は以前にどのようなことがあったのかを質問して、呉清源さんはいろんなことを話してくれました。年配の方にもかかわらずすごい記憶力なんですよ。20代のころの何年何月何日にどこに行って誰に会った、ということを全て鮮明に覚えてらしてびっくりしました。まるでコンピュータのようでした(笑)」。

とは言うものの、劇中での彼の仕草は特に呉清源さんを参考にしたわけではないそうだ。
「やはりご高齢でいらして、当時どうだったかを知るのは難しかったんです。参考になるのは写真だけで、それを動きに変えるのはまた難しい。写真からフィーリングのようなものをキャッチしてやるしかなかったんです。監督が『呉清源さんは普通の人とは違う何かを持っていることを強調してほしい』とおっしゃっていたので、歩く姿や囲碁を打つときの姿など、いろいろ考えました」。

本作は、中国第五世代の巨匠と言われる田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)監督の4年ぶりの新作。撮影のほとんどが日本語で、しかも日本ロケを敢行している。
「日本語が少し上達しました(笑)。正直に言うと日本語は僕にとってすごく難しいんです。でも柄本さんの日本語を聞くと“味があるんだな”と実感しました。それに、松坂慶子さんは立っていらっしゃるだけで“何て美しいんだろう”と思うんです。これはまさにスターのオーラですよね。それから日本のスタッフの方はみなさん本当に真面目ですね。この映画は小道具がずいぶん多いんですが、しょっちゅう倉庫に潜り込んでいろんな道具を見つけていました。セットには木を使っているんですが、昔の木に見せないといけないので焼くんです。見ていて面白かったです。撮影では本当にあちこちに行きました。どこも印象深いんですが、日本海が一番印象に残っています」。

本作では、着物を着こなしているチャン・チェン。衣裳は『ピーター・グリーナウェイの枕草子』やチャン・イーモウ監督の『HERO』など、海外でも人気の高いワダエミだ。
「衣裳というのは演技と撮影にすごくプラスになると思うんです。今回の映画の中では和服だけではなくて中国服も着たんです。呉清源さん自身、非常にオープンマインドな方なんですね。あの時代で中国服を着る人はあまりいなかったそうなんですが、呉清源さんは着ていらしたそうです。これは聞いた話ですが、和服には家紋があるじゃないですか? 呉清源さんは、この家紋を自分でデザインして、自分で書いてらしたそうですよ」。

「この映画を観て、みなさんに囲碁のことや呉清源さんについてより深く知ってもらいたいですね。もしかしたらみなさんの人生についての考え方に何か変化があるかもしれない。そうなったら嬉しいです」と最後にメッセージを贈ってくれたチャン・チェン。

彼の新たな挑戦をぜひ、その目で確認してほしい。

《photo:Yoshio Kumagai》
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