初めてインド映画を観たのは1999年の初夏だったと思う。『ムトゥ踊るマハラジャ』という日本でもヒットしたインド映画である。当時、僕は女性ファッション誌の編集長をしていた。生きることの意味だとか、踊ることの意味だとか唄うことの意味だとか考えるのではなく、ただ単に唄って踊りまくるインド映画の楽しさに完全にやられ、映画担当の編集者が持ってきたアート系の映画を押しのけて、映画ページの第一特集にしてしまった。映画はアートじゃなくて、娯楽なんだと改めて教えてもらった映画だった。その雑誌は全く売れず、営業サイドから、内容に問題があると、いろいろダメ出しをくらった。インド映画を特集に持ってきたことにも話題が飛んだ。