「神のような力を持たざる人々を描いた」 監督が明かす『シティ・オブ・メン』

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『シティ・オブ・メン』 パウロ・モレッリ監督
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ブラジル・リオデジャネイロの“ファヴェーラ”と呼ばれるスラムで、強盗や麻薬のディーラーをして生きる少年たちをスタイリッシュに描いた『シティ・オブ・ゴッド』から5年。前作で描かれることのなかった、ファヴェーラに暮らしながらもドラッグや暴力に手を染めることなく、たくましく生きる人々の姿を綴った『シティ・オブ・メン』が8月9日(土)より公開を迎える。ファヴェーラ・サーガ第2章とも言うべき本作で、メガホンを握ったパウロ・モレッリ監督に話を聞いた。

前作で監督を務めたフェルナンド・メイレレスの長年にわたるパートナーとして活躍し、TVシリーズ版の「シティ・オブ・ゴッド」でも監督を務めたモレッリ監督。今回再びファヴェーラを舞台にした作品に取り組んだが、ファヴェーラとそこに暮らす人々との出会いををこう語る。
「実は、5年前にTVシリーズを担当するまで、私はファヴェーラに行ったことすらなかったんです。初めて足を踏み入れたときは、扉が開いたような感覚に襲われました。これまで知らなかった、自分の住む国の重要な部分をまざまざと見せ付けられた思いで、これを題材にした映画を撮りたいという思いが沸々とわいてきました」。

ファヴェーラに足を運ぶうちに、自身の中で当初思い描いていたファヴェーラの印象は大きく変わっていったという。
「最初は、私はそこに住む人々を貧しく、悲しい人々だと考えていましたが、彼らは自分たちをそんな風には捉えてはいないんです。矛盾しているように思われるかもしれませんが、彼らは貧しくはあっても決して惨めではないのです。人だけでなく、私が訪れた場所の中には、こんなに美しい所はないと思えるような絶景を持ったファヴェーラもありました。もちろん、そんな幸せなことばかりでなく、厳しい現実も存在します。彼らが、ドラッグの密売に関わる人間たちによる独裁の下で暮らしているという現実も目の当たりにしました。独裁者たちは慈悲の心を持たず、政府はそんな現状を野放しにしてきたということも初めて知ったのです」。

この現状を知らしめるべく本作を作り上げたが、制作の過程において、最も大きな挑戦として掲げたのが「リアリティの追求」だった。
「今回の物語で描かれていることは、全て実際に起こった出来事をモデルにしており、ほぼ全編ファヴェーラでロケを行いました。そして、俳優陣は全員ファヴェーラの出身です。彼らには脚本を渡さず、何をやるのかだけ大まかに口頭で伝えました。セリフを与えるのではなく、ファヴェーラごとに存在する独自のスラングで表現することを要求したんです。つまり、ストーリーにロケーション、俳優、そのいずれもがリアルなんです」。

そして、監督は本作の『シティ・オブ・メン』というタイトルに込めた思いをこう説明する。
「実は、前作の『シティ・オブ・ゴッド』というタイトルは、実際に存在するファヴェーラの名前から取ったんです。あの映画に出てくるのはドラッグのディーラーであり、彼らは時として殺人を犯します。言い換えれば神(=ゴッド)であるかのような力を持っています。それに比べ、今回の『シティ・オブ・メン』で描いているのは、そうした“神の力”の下で暮らさねばならない、力を持たざる人々(=メン)の物語なんです」。

今後もファヴェーラをテーマにした作品を撮り続けるのかと尋ねると、少しおどけた様子で首をすくめ「ずっとファヴェーラばかりを描いてきたので、そろそろ違う作品を撮りたいと思ってるんです」と語ったモレッリ監督。何をテーマにするにせよ、再び世界を驚かすような作品を生み出してくれることを期待したい。
《text:cinemacafe.net》

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